ソフィ・カル展関連企画「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」を実施しました。
2月27日(土)、企画展「ソフィ・カル-最後のとき/最初のとき」の関連企画として実施した「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」。
ソフィ・カルの作品鑑賞を通して「見ること」あるいは「不在」や「喪失」について思いをめぐらすことができればと企画しました。
講師には、東京を拠点に活動される団体「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」より、林建太さん、木下路徳さんをお招きしました。
鑑賞のナビゲーターを務められたのは、全盲の木下さん。そして参加者は、事前に応募いただいた7人(見える人、見えない人。それぞれに様々な職業・興味・関心・バックグラウンドを持つ人たちが集まりました)。
ところで「見える人と見えない人…どうやって鑑賞するの?」という疑問をお持ちの方のために、まずは簡潔に説明します。
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「視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ」とは、
障害の有無にかかわらず、多様な背景を持つ人が集まり、ことばを交わしながら一緒に美術を鑑賞するワークショップです。さまざまな視点を持ち寄ることで、一人では出会えない新しい美術の楽しみ方を発見できるはず。誰もが気軽に美術館を訪れて、感じていることや印象、経験や考えを自由に語り合う、そんな美術鑑賞のスタイルを目指しています。(視覚障害者とつくる美術鑑賞ワークショップ Facebookページより)
当日の様子を少しご紹介します。
まずは、参加者同士簡単な自己紹介をして、ソフィ・カル展の展示室へ。
見えるもの、見えないもの、そして見えづらいものについて
客観的意見と主観的意見を交えながら話すことで、作品の本質に迫っていきました。
<<盲目の人々>>は、ソフィ・カルが生まれつき盲目の人々に「美しいものとは何か」を問うた作品です。
こちらは、「純白」「白」「美しさ」についてみんなでディスカッションしているところです。
こちらは、「ソフィ・カルが制作時に意図したことは何かのか」、「ソフィ・カルの思惑通りになるまい」…など、意見が飛び交っているところです。
ワークショップ後、参加者の皆様からは様々な感想が述べられました。
「皆で語り合いながらじっくりと作品をみていくということは、普段体験できないことなので、すごく面白かったです」
「作家の視点、他者の視点、自分の視点、それぞれの差異や意見を楽しめました」
「見ているからといって、同じものを見ているとは限らないんだと感じました」
また、参加者の方から「ナビゲーターの木下さんが、どのように感じられていたか聞きたい」という質問があがりました。
木下さんは、「現実に見えているものよりも、皆さんがどう感じているかを聞くのが楽しい」、そして「皆さんの頭の中におじゃまさせていただいているような気持ち」と述べられていました。
見える、見えないに関わらず、それぞれの参加者が主観、客観、思い出したことを話し、他者の意見に共感したり、違いを感じたり……ソフィ・カルの作品鑑賞が深まるとともに、多様な「見かた」があることを感じずにはいられない、非常に濃密な時間となりました。
ご参加くださった皆様、講師の皆様、ありがとうございました。