平成29年度 第1回コレクション・イン・フォーカス★いよいよ始まりました!!
当館学芸員をはじめ専門家が主にコレクションをめぐってさまざまなテーマで語るコレクション・イン・フォーカス★いよいよ始まりました。第1回について報告します。
7月16日(日)、第1回のテーマは、「グティエレス・ソラーナ―イメージの不気味さの起源」
コレクション展にて展示中の《軽業師たち》をはじめとしたソラーナによる作品が持つ独特な不気味さの根幹に迫る試みです。
講師は、今回初登場となる当館学芸員の稲葉 友汰 さんです。
裕福な家庭に生まれたソラーナは描くことに興味を持ち、父の支えもあって絵の才能を伸ばしていきました。一方、幼少期に体験した近親者の死と暴漢による自宅への襲撃、父の死後、精神を患う母の姿等のプライベートな悲劇があったことが語られました。
もしかしたら、このようなネガティブな経験が、ソラーナの作風に少なからず影響しているのではないかと感じました。フロイトによる不気味さの本質についてのお話もおもしろかったです。
ソラーナ作品の、生命あるものとないものの境界をあいまいにすることによって生じる不気味さ、不安感を誘うため奥行きをわざとぼかす構図の巧みさ、また、蝋人形や機械人形への関心などは、ちょっと怖いけど興味をそそる内容でした。
参加者の感想には、「ソラーナには今まであまり興味がなかったのですが、もう少しよく見たいと思います」など、作品や作家を見直すきっかけとなったというコメントが見られました。
毎回、当館コレクションの新たな魅力を発見することができる「コレクション・イン・フォーカス」聴講無料、皆さん、ぜひご参加ください!(^^)!
次回の予定は8月20日(日)11時から「木版画家・上野誠の見た長崎」です。詳しくはこちらをクリック!