Enjoy Printing! 「みえる人と、みえない人の活版ワークショップ」を実施しました
9月18日(日)Enjoy Printing! 「みえる人と、みえない人の活版ワークショップ」を実施しました。
今回のワークショップは、活版印刷の普及に力を入れていらっしゃる中川たくまさん(ブルームーンデザイン事務所)と一緒に企画しました。
また、点字印刷や企画内容に関しては長崎県視覚障害者情報センターの皆様に協力していただき実施に至りました。
アトリエの中に入ると、活版印刷のインクのにおい、そして文香づくりのための香木の香りがお出迎えです。
ワークショップは、活版印刷で一筆箋とポストカードを作ることからスタート!
絵柄は、眼鏡橋と浦上天主堂。そこに「nagasaki」という文字が組まれています。
次に、香木のチップと長崎凧(ハタ)の紙きれで文香作りです。
かつて出島には、インド経由でたくさんの香木が輸入されました。白檀の香り、色々とミックスしてある香り、どちらが好みですか?
そして、点字新聞を再利用した封筒づくりです。
点字新聞を初めて見る方も多かったようで、まず、その美しさを純粋に感じ取られていたようです。その上で、点字の仕組みや歴史、視覚障害者の方々の暮らしのことに関心を持つ方がたくさんいらっしゃいました。
参加者からは「点字は自分の日常からは遠いことのように感じていましたが、今回とても身近に感じ、興味がでました」というコメントもいただきました。
最後に、点字印刷体験コーナー!
携帯用の点字機で、一筆箋に点字を打ちます。
そもそも、点字印刷と活版印刷って「凹凸」や「反転」するという基本的な仕組みは同じなんですね。
みなさん真剣に取り組まれていました。
「ありがとう」という簡単な文字だけでなく、点字一覧表を参考にしながら、2行も3行もメッセージを打つ方もいらっしゃいました。
このコーナーが一番盛り上がっていたように思います。
今回、アトリエには視覚障害者情報センターからお借りした「点字の本」にふれるコーナーも設けました。
みえる人、みえない人が一緒になって、点字の本や絵本に関して会話されている場面が見られました。
それから、活版印刷の作品も展示しました。
大分から「高山活版室」、そして長崎・小値賀の「晋弘舎活版印刷所」にご協力いただきました。
ステキな感覚で作られた活版印刷の作品や商品の数々です。
そして、点字と活版印刷にまつわる重要人物たちの歴史についても触れました。
活版印刷を発明したグーテンベルク、日本で活版を伝えた諫早のドラード、近代日本で活版を再び広めた長崎の本木昌造、点字印刷を発明したブライユ、日本で点字を広めた石川倉次。先人の努力があって、今の時代があるのですね。
このワークショップの間、束の間でしたが、アトリエは小さな子どもから年配の方、日本人、外国人、みえる人、みえない人…と色々な背景を持つ人たちでたくさんになりました。
美術館での「ものづくり」を通して、色んな人たちが会話を楽しみながら、心地よい時間を過ごしていただきたい、そんな気持ちで企画をしたので、とても嬉しい瞬間でした。
視覚に障害のある参加者からも「普段では出来ない印刷の体験ができたり、勉強ができたりしてとてもよかったです」というコメントをいただきました。
改善点も課題もたくさんありますが、これからも開かれた美術館を目指して、少しずつ前に進んでいきたいと思います。
ご参加くださった皆様、協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。