工芸
割れ・欠けから見つめる工芸の世界②「波佐見焼コースターづくり」
金継ぎ体験に引き続き、8月27日には「波佐見焼コースターづくり」を実施しました。
材料として用意したのは波佐見焼の陶片と、やきものを焼成する時に使う窯道具の「ハマ」。ハマはとても重要な窯道具ですが、一度使ったら廃棄されてしまうものもあります。そこで今回は、「Utte(波佐見焼産地から産業廃棄物を減らすプロジェクト)」さんにご協力いただき、陶片と使い終わったハマで新たな作品を生み出すプログラムを企画しました。
まずは、陶片のなかからお気に入りの色や形、模様を見つけます。宝探しをするように、参加者は目をキラキラさせながら陶片を選び、どのようにハマに配置するかデザインしていきました。あとは陶片とハマを接着して完成!
ハマの中心を空けてコースターにするもよし、一面全体を陶片で埋めてオーナメントにするもよし、と参加者のアイデアで自由に作品づくりを楽しんでいただきました。
また、博物館実習生やアートボランティアが各テーブルで波佐見焼やハマについてお話しながら、参加者の制作をお手伝い。デザインの相談に乗ったり、小さなお子さんの接着をサポートしたりと、会場は終始和気あいあいとした雰囲気に包まれていました。
ハマをしげしげと眺めながら「こういうものを使って器ができているのね」とつぶやいた方。できあがった作品を新聞紙で大事に包みながら「また波佐見焼で何かつくりたい!」と意気込んだお子さん。シンプルな制作のなかで、参加者各自がしっかりとやきものへ思いを巡らせていました。
夏のわくわく美術館、これにて終了!
次のプログラムもお楽しみに!
※「波佐見焼コースターづくり」は当日開館直後から多くの方がお越しになり、館内の混雑緩和のため急遽整理券を配布させていただきました。急な変更によりご迷惑をおかけし申し訳ございませんでした。
割れ・欠けから見つめる工芸の世界①「金継ぎ体験」
おとなもこどもも楽しむ夏のわくわく美術館、実施しました!
企画展「イッタラ展 フィンランドガラスのきらめき」(2023年7月1日~9月3日)や、コレクション展「2022年度新収蔵作品」(2023年7月27日~10月22日)にてガラスや陶磁器の作品が出品されることから、大きなカテゴリーで「工芸」をテーマに展開した本プログラムは、「金継ぎ体験」と「波佐見焼コースターづくり」の2本立てで実施しました。
金継ぎは、陶磁器などの割れ、欠けをうるしなどで貼り合わせ、金属粉で装飾する日本の伝統的な修復技法です。今回は日常生活で何気なく使っている器や、思い入れのある器に向き合う場として「金継ぎ体験」を8月5日に実施しました。
講師は、美術家として金継ぎの魅力を世界に発信し続けているナカムラクニオさんをお迎えしました。幼少期から美術が好きだったナカムラさんは、テレビ局勤務時代に全国各地で取材するなか金継ぎと出会い、モノの新しい価値を創造する金継ぎの魅力に強く惹かれ、現在国内外で活動されています。
参加者の皆さんが持参された器を1点1点ナカムラさんが確認し、どのように直していくかアドバイスしながら進めていきました。いろいろな金継ぎの方法がありますが、今回は体験なので、接着剤とかぶれない新うるしを用いた方法で実施しました。
まずは割れを接着し、欠けた部分をパテで埋めます。パテが乾いたら丁寧にヤスリをかけていきます。実はこのヤスリがけがとても大事な時間。パテ部分が器に馴染むよう、1時間以上じっくりと取り組みました。その後、器の色に合わせて金属粉とうるしを混ぜたものを割れ目やパテ部分に塗り、乾いたら金属粉を散布して完成です。
参加者の皆さんは、慣れないパテやヤスリの扱いに苦戦しながらも、時間をかけて作業する過程で器に向き合い、「『織姫』という言葉が頭に浮かんだ」「器が猫の額のように見えてきた」など、それぞれの発想で完成した器に銘をつけていました。