長崎県美術館 メルマガ(vol.10)
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- 長崎県美術館 メルマガ(vol.10)
- 配信日時
- 2006/1/24 10:30
メルマガ長崎県美術館
□───────────────────○2006/1/24(毎月1回発行)
「続・呼吸する美術館」への道
長崎県美術館 館長 伊東順二
皆様のお陰で早々と入場者数50万人を突破した。
ようやく一人前の美術館の仲間入りを果たした、と思うところもあるが、
まだまだ理想とする姿にはほど遠い。企画展一つをとっても、観客への
情報の提供の仕方、空間構成、環境演出について不充分なところが多い
し、長崎の先進的な文化風土を再現するようなさらに刺激的な企画が今
後求められてくるだろう。地場との文化的「呼吸」も一定していないし、
長崎県中の人々に対しての貢献も現状では偏っている、といわれても仕
方がない、と思う。余り急いてはいけないけれど、50万人の方々の
「呼吸する美術館」への期待、ということを考えると自らの責任をより
強く感じてしまうのである。地域密着型で世界発信を果たす初めての美
術館として、長崎県美術館独自のスタイルを確立することは、そのまま
長崎の文化の評価となるからだ。そのため、地域とデジタルネットワー
クを巻き込んだ映像際「HeArt 2006」を民間の方々と共に立ち上げた。
長崎県の先端分野におけるフレッシュな人材を育成し、長崎域をアート
の拠点にする試みである。ようやく始めた呼吸をもっと確かなものにす
るために新鮮な企画を考え続けたい、と思う。
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INDEX
《最新情報》
1)展覧会情報
■企画展
○2/12(日)まで
南仏モンペリエ ファーブル美術館所蔵
「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」
○2/21(火)-4/2(日)
「エドゥアルド・チリーダ展」
■常設展
○3/12(日)まで「長崎異国風景」
○3/12(日)まで「森正洋展」
○4/9(日)まで(予定)「須磨コレクション2」
○2/12(日)まで「ゴヤ四大版画集より『妄』」
○2/14(火)-4/9(日)(予定)「シャガール版画展」
○4/9 (日)まで(予定)「スペイン近現代美術3」
■教育プログラム
○2/3(金)-2/4(土)こどもアートクラブジュニアチーム作品展
2)注目イベント
■企画展「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」 関連イベント
○映画上映会 1/28(土)、2/4(土)、2/11(土)
○学芸員によるギャラリートーク
水・日曜日14:00-14:30
■アートミュージアム「イブニング・ライブ」①16:30- ②18:00-
○1/29(日)By長崎大学
○2/12(日)By活水女子大学
■シエスタミュージック-美術館で室内楽-
○2/15(水)By『グルッポWA』
■コンサート情報
○2/5(日)-于波と楽しむ美術館-
チェロコンサートと「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」
3)ミュージアムショップ情報
「フランスのBonne Maman(ボンヌ・ママン)のビスケット」
ミュージアムショップ チーフ 濱田美由紀談
4)今月のピックアップ 「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」
当館学芸員 福満葉子談
5)アートボランティア 今月のパーソナリティ
「広報ボランティア 篠崎清明さん」
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《最新情報》
1)展覧会情報
■企画展
○2/12(日)まで
南仏モンペリエ ファーブル美術館所蔵
「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kikaku/index.html
○2/21(火)-4/2(日)
「エドゥアルド・チリーダ展」
20世紀を代表する彫刻家として、既に欧米では不動の評価を得ているチリーダ。
チリーダの芸術は、ハイデガーやオクタビオ・パス、ガストン・バシュラール
などの知識人をはじめ、ブラック、ミロ、カルダー、ジャコメッティなど一流
の芸術家をも虜にしてしまう魅力にあふれています。2002年に他界した後、世
界各地の美術品コレクターがこぞってチリーダの作品の獲得に乗り出し、現在
では作品の入手がほとんど不可能となっている事実からも、その人気の程が窺
えます。
国民的なヒーローとして尊敬を集めているスペイン国内はもとより、チリー
ダの展覧会はこれまで欧米各地で多数開催されていますが、残念ながら日本に
おいては未だ本格的な紹介はなされていません。
今回の展覧会は、日本においてチリーダの芸術を本格的に紹介する初の展覧
会です。しかも、どこよりも早く長崎県美術館において開催されます。(その
後、三重県立美術館、神奈川県立近代美術館に巡回)
おそらく日本においてチリーダの芸術をまとめて紹介できる最初で最後の機
会となるこの展覧会は、誇張ではなく歴史的な展覧会になることでしょう。
◆会期 |2/21(火)— 4/2(日)
◆開館時間|10:00-20:00(入館は19:30まで)
◆休館日|2/27(月)、3/13(月)、3/27(月)
◆観覧料|一般900円(800円)/大学生800円(700円)/中高生700円(600円)
70歳以上 800円(700円) ※小学生以下は無料
◎( )内は前売りおよび20名以上の団体割引料金です。
◎ 前売券は、お近くのチケットぴあ(Pコード:684-45)、
ローソンチケット(Lコード:85128)、浜屋プレイガイド
S東美プレイガイド、紀伊國屋書店長崎店(夢彩都内)他の取扱店でお求めいた
だけます。
◎ 障害者手帳保持者及び介護者1名までは5割減額いたします。
◎ 常設展の観覧券か年間フリーパスをお持ちの方は、当企画展を団体割引料金
でご覧いただけます
◎ 当企画展の観覧券をお持ちの方は、常設展を団体割引料金でご覧いただけます。
■常設展
長崎県美術館は、長崎ゆかりの美術とスペイン美術をコレクションの大
きな柱としています。常設展示室ではこれらの作品を、年数回の展示替
えを交え随時ご紹介しています。
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/index.html
○3/12(日)まで「長崎異国風景」
スペイン・ポルトガル・中国・オランダなどからの影響が色濃く残る
長崎の風景を油彩・版画・水彩・写真作品で紹介しています。
ランタンフェスティバルとあわせてご覧下さい。
○3/12(日)まで(予定)「森正洋展」
陶磁器デザインの先駆者である森正洋の作品を紹介します。
○1/24(火)-4/9(日)(予定)「須磨コレクション2」
15世紀から1940年代までの幅広いコレクションを誇る須磨コレクション
の中から厳選した作品を紹介します。
○2/12(日)まで「ゴヤ四大版画集より『妄』」
ゴヤ最晩年に制作された未完成の連作版画集『妄』。
国内では当館のみが所蔵する「完全版」全22点を公開いたします。
異様な迫力に満ちた作品世界をご覧下さい。
○2/14(火)-4/9(日)(予定)「シャガール版画展」
シャガールの1967年のリトグラフ『サーカス』シリーズを紹介します。
○4/9 (日)まで(予定)「スペイン近現代美術3」
ピカソ、ミロ、ダリをはじめ、スペイン現代レアリスムの巨匠、ロペ
ス・ガルシアやナランホの作品、現代スペインを代表する美術家タピエ
スやムラド、アロージョによる大作などを展示しています。
■教育プログラム
○2/3(金)-2/4(土)こどもアートクラブジュニアチーム作品展
◇時間:10:00-18:00
◇会場:アトリエ(入場無料)
こどもアートクラブでは、年齢に合わせた『まなぶ・つくる・深める』
の活動を通して、鑑賞力・表現力を伸ばすプログラムを行っています。
10月-1月の下半期、「やきものづくり」や「キャンドルづくり」など
9回の活動で制作してきた作品を一同に展示します。様々な造形活動を
通して生まれた、小・中学生メンバー30名の個性豊かな作品をご鑑賞
下さい。
■企画展「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」 関連イベント
◎映画上映会
◇時間:16:00-(開場は30分前)
◇会場:ホール
◇定員:各先着100名(入場無料)
○2/4(土)
アラン・レネ短編傑作選『ヴァン・ゴッホ』(18分・1949年・フランス)
『ゲルニカ』(13分・1949年・フランス)など
全5作/90分
○1/28(土)、2/11(土)
『月世界旅行』(ジョルジュ・メリエス監督 12分・1902年・フランス)
ジャン・リュック・ゴダール短編傑作選『水の話』
(12分・1958年・フランス)など、全3作/70分
◎学芸員によるギャラリートーク
◇水・日曜日 14:00-14:30
◇会場:企画展示室
◇定員:先着20名程度
◇聴講無料、但し観覧券が必要です
■アートミュージアム「イブニング・ライブ」①16:30- ②18:00-
○1/29(日)By長崎大学
『冬の旅から春を想う・・・-リクエスト特集第一弾-』
シューベルトやシューマンの歌曲をバリトン宮下茂氏が歌います。
○2/12(日)By活水女子大学
『フランス音楽のエスプリ』
フランスの作曲家フォーレやサティの歌曲ををソプラノ松下知子氏、
バリトン渡邉誠氏が歌います。
■シエスタミュージック-美術館で室内楽-
○2/15(水)By『グルッポWA』
総勢13名の音楽家たちがソロからコーラスまで楽しい音楽をお届けします。
■コンサート情報
○2/5(日)-于波と楽しむ美術館-
チェロコンサートと「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/event/uha.html
3)ミュージアムショップ情報
「フランスのBonne Maman(ボンヌ・ママン)のビスケット」
ミュージアムショップ チーフ 濱田美由紀談
フランス絵画展にちなんで、ミュージアムショップでは、ボンヌママンの
ビスケットが入荷しております。
箱のてっぺんに赤と白のギンガムチェックをまとっているのが、ボンヌマ
マンのトレードマーク。良質の牛乳によって作られるフレッシュなバター
をたっぷりと使い、厳選した素材だけを用いて、手作りの良さを残した昔
ながらの伝統的な製法で、一枚一枚、ていねいに焼き上げられています。
味ももちろんよいのですが、おしゃれなパッケージデザインがとても素敵
なので、バレンタインやホワイトデーなどの贈り物にもおすすめです。
4)今月のピックアップ 「魅惑の17-19世紀フランス絵画展」
当館学芸員 福満葉子談
この展覧会で、クールベに次ぐ「目玉」がバジールです。日本ではあま
り知られていない画家ですが、印象派の歴史の中では重要な存在です。
しかし、なにしろ1870年にフランスとドイツの間で勃発した戦争に自ら
進んで従軍して戦死(享年29)。友人だったモネやルノワールたちがいわ
ゆる「第一回印象派展」を開催するのが1874年ですから、言うなれば「印
象派になりそこねた画家」です。
彼がモネたちとともに風景の中で描いた作品は、まさに印象派を予告す
るものとして重要なのですが、制作面以外に彼は印象派の歴史において重
要な役割を果たしました。それは、モンペリエの裕福な名家出身の彼が、
仲間たちを経済的に支えていたということです。彼は自分のアトリエにモ
ネとルノワールを居候させ、さらに彼らの作品も買っています。たとえば
モネの初期の傑作《庭の女たち》(オルセー美術館)を買ったのも彼でし
た。ちなみに、本展にも出品されているバジールの《草の上に横たわる裸
の少年》は、すわる女性像を半ば塗りつぶして描かれた未完成作品ですが、
画面の下半分に残る元の女性像は、実はモネが《庭の女たち》の習作とし
て描いたものと考えられています。
とはいっても、バジールが一方的に友人たちを支えていたというわけで
もなく、彼らは互いにモデルになったり、あるいはモデルを融通しあった
りして、協力し合っていました。やはり本展出品作のバジールの《身づく
ろい》には、ルノワールの当時の恋人が描かれています(右端に立つ女性)。
また、同じく本展に出品されているシスレーの静物画《羽根を広げられた
あおさぎ》とほぼ同一の構図で描かれたバジールの静物画もあって、彼らが
同じときに同じモティーフを前に制作をしたであろうことがわかります。絵
の背後にあるこうした事実からは、彼らの友情の篤さと、新しい芸術が生み
出される際の生き生きとした雰囲気が伝わってきます。
バジールはファーブル美術館のお膝元モンペリエの出身なので、同館は彼
の作品を多数所蔵しています。代表作を含む5点が出品されている本展は、彼
を日本で初めて本格的に紹介する貴重な機会となりますので、ぜひ実物をご
覧ください。
5)アートボランティア 今月のパーソナリティ
「広報ボランティア 篠崎清明さん」
「広報ボランティア8ヶ月」
美術館開館以来8ヶ月。来館者も50万人を超えました。喜ばしい限りです。
ボランティアの皆さんはそれぞれの分野でご活躍なのに、私は勤務の関係
もあり、あまり参加できず申し訳なく思っています。編集会議2回、イブ
ニングライブ4回、チラシ配布1回くらい。せめて月1度、定期的に参加し
なければ忘れられてしまうのではと危機感を覚えます。最近職場において
小生の美術館での副業?が浸透してきたのか、『黄色い名札下げてるの見
かけた』『ベルギー展で奥さんがとても感動していた』『子どもたちが喜
んでいた』等わざわざ報告してもらうと嬉しくなります。近所の掲示板に
欠かさずポスターを掲示して企画展のアピールすることもボランティアの
仕事かなと思っているこの頃です。
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《長崎県美術館メールマガジン》
配信中止・配信先変更は、以下のホームページからアクセスできます。
http://www.nagasaki-museum.jp/
長崎県美術館────────────────────────────