長崎県美術館 メルマガ(vol.12)
- 件名
- 長崎県美術館 メルマガ(vol.12)
- 配信日時
- 2006/2/23 12:39
メルマガ長崎県美術館
□───────────────────○2006/2/23(毎月1回発行)
春の前に
伊東順二
二月は悲しいニュースに次々と見舞われた。
まず彫刻家の脇田愛二郎さん、それにビデオアートの父であるナム・ジュン
・パイクさんである。二人とも長年心に残る親交をむすばせていただいた方
々である。特に、パイクさんとは二十台半ばからのお付き合いで、「バイバ
イ・キプリング」という歴史に残るイベント制作を共にさせていただいたこ
ともある。「順二ねぇ、僕三十九才になるまでお金を一銭も稼いだことなか
ったよ。」といって、笑っていた姿が昨日のことのようだ。「アート」とは
「心」のことだ、と気づかせてくれた人だった。
先日、夫人の久保田成子さんから手紙が届いた。それによれば、ニューヨー
クで行われたお葬式では、弔辞をクリストとヨーコ・オノが読んだそうだ。
涙が出たのは、亡くなられる前、私を日本のテレビで見て、「順二が出てる、
順二が出てる!」と言ってくださった、というくだりだった。
九十年代に脳梗塞で倒れ、半身不随になった時、お見舞いに行ったら、心配
する僕を見て、微笑みながらこう語りかけてきたことを覚えている。
「順二よかったよ。頭は無事だったよ。アーチストは考えるのが仕事だから
ね。」人をいたわるやさしい人だった。
夏に行う「ネットワーキング・アートの未来」展ではパイクさんからいただ
いた作品と思い出を公開したい、と思っている。
すべてのアート・ファンと共にご冥福を祈りたい。
□────────────────────────────────○
INDEX
《最新情報》
1)展覧会情報
★お知らせ★
NHK新日曜美術館アートシーンのコーナーで、長崎県美術館「エドゥアルド・
チリーダ展」が放映されます。
3/12(日)教育:午前9時~10時、午後8時30分~9時30分(再)
3/13(月)BShi:午前0時05分~1時05分
■企画展
○2/21(火)-4/2(日)
「エドゥアルド・チリーダ展」
■美術館コレクション展(常設展示室)
○4/19(水)まで「長崎異国風景」
○4/19(水)まで「森正洋展」
○4/19(水)まで「須磨コレクション2」
○4/19(水)まで「シャガール版画展」
○4/19(水)まで「スペイン近現代美術3」
○3/30(木)まで「特別公開/クロード・モネ《アンティーブ岬》」
■教育プログラム
○「エドゥアルド・チリーダ展」関連ワークショップ
「デコボコカード」 3/11(土)
「コロコロテラコッタ」 3/25(土)
2)注目イベント
■企画展「エドゥアルド・チリーダ展」 関連イベント
○講演会 3/5(日)、3/19(日)
○映画上映会 3/12(日)、3/26(日)
○学芸員によるギャラリートーク
2/26(日)、3/12(日)、3/26(日)、4/2(日)
■アートミュージアム「イブニング・ライブ」①16:30- ②18:00-
○2/26(日)By長崎大学
○3/12(日)By活水女子大学
3)カフェ情報
4)今月のピックアップ 「エドゥアルド・チリーダ展」
当館学芸員 野中明 談
5)アートボランティア 今月のパーソナリティ
「館運営ボランティア 舩原 明日香さん」
□────────────────────────────────○
《最新情報》
おしらせ
NHK新日曜美術館アートシーンのコーナーで、長崎県美術館「エドゥアルド・
チリーダ展」が放映されます。
3/12(日)教育:午前9時~10時、午後8時30分~9時30分(再)
3/13(月)BShi:午前0時05分~1時05分
■企画展
○2/21(火)-4/2(日)
「エドゥアルド・チリーダ展」
1)展覧会情報
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kikaku/index.html
■美術館コレクション展(常設展示室)
長崎県美術館は、長崎ゆかりの美術とスペイン美術をコレクションの大
きな柱としています。常設展示室ではこれらの作品を、年数回の展示替
えを交え随時ご紹介しています。
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/index.html
○4/19(水)まで「長崎異国風景」
スペイン・ポルトガル・中国・オランダなどからの影響が色濃く残る
長崎の風景を油彩・版画・水彩・写真作品で紹介しています。
○4/19(水)まで「森正洋展」
陶磁器デザインの先駆者である森正洋の作品を紹介します。
○4/19(水)まで「須磨コレクション2」
15世紀から1940年代までの幅広いコレクションを誇る須磨コレクション
の中から厳選した作品を紹介します。
○4/19(水)まで「シャガール版画展」
シャガールの1967年のリトグラフ『サーカス』シリーズを紹介します。
○4/19(水)まで「スペイン近現代美術3」
ピカソはじめ、スペイン現代レアリスムの巨匠、ロペス・ガルシアや
ナランホの作品、現代スペインを代表する美術家タピエ
スやムラド、アロージョによる大作などを展示しています。
○3/30(木)まで「特別公開/クロード・モネ《アンティーブ岬》 」
当館所蔵作品との交換企画。愛媛県美術館よりモネ作品をお借りし、
展示させていただくことになりました。
本作品は、モネが1888年1月から5月にかけて南フランスのアンティーブに
滞在したときに描いたもの。岩の反射を受け波に落ちる光や樹木の幹への
照り返しのオレンジがかった色彩などから、日が傾きつつある頃であろう
ことがわかります。
■教育プログラム
○「エドゥアルド・チリーダ展」関連ワークショップ
「デコボコカード」 3/11(土)
エンボス版画でカードをつくります
「コロコロテラコッタ」 3/25(土)
テラコッタでふしぎなオブジェをつくります
定員:各20名
会場:アトリエ
参加費:1人500円(材料費)
対象:8歳から一般
※参加のお申込みはハガキまたはfaxで「チリーダ展ワークショップ係」まで。
(先着順に受付)
〒850-0862長崎市出島町2-1 fax:095-833-2115
※定員になり次第、受付を締切ります。
■企画展「エドゥアルド・チリーダ展」 関連イベント
○講演会
◎3/5(日)「空間の詩人-エドゥアルド・チリーダの芸術」
◇時間:14:00-15:30(13:30開場)
◇講師:中原佑介(美術評論家)
◇会場:ホール
◇定員:先着120名(聴講無料)
◎3/19(日)「チリーダの世界-出品作品を中心に-」
◇時間:14:00-15:30(13:30開場)
◇講師:野中明(長崎県美術館学芸員)
◇会場:ホール
◇定員:先着120名(聴講無料)
○フィルム上映会 3/12(日)、3/26(日)
エドゥアルド・チリーダを取材したフィルムをご覧いただきます。
◇時間:15:00-(開場は30分前)
◇会場:ホール
◇定員:各先着120名(入場無料)
○学芸員によるギャラリートーク
2/26(日)、3/12(日)、3/26(日)、4/2(日)
◇時間:14:00-(企画展示室入口に集合)
◇会場:企画展示室
◇定員:先着20名程度(聴講無料、但し観覧券が必要です)
■アートミュージアム「イブニング・ライブ」①16:30- ②18:00-
○2/26(日)By長崎大学
『リクエスト特集第2弾』
美空ひばりメドレーやスコット・ジョプリンなど皆様のリクエストに
お応えしてお送りします。
○3/12(日)By活水女子大学
『スプリングコンサート in ミュージアム~旅立ちの春』
今春卒業する4年生を中心に活水女子大学で学んだ集大成を発表します。
3)カフェ情報
20世紀を代表するスペインの彫刻家エドゥアルド・チリーダに因んだ
今回のCafeの企画は、スペインのお菓子のメインである焼菓子に、
アーモンドクリームを挟んだスウィーツをご用意しました。鉄と石と
いうチリーダの作品の様に華やかさはないけれど、内に秘めた情熱を
イメージしてスペイン語のドゥエンデと名付けました。
新たに皆様のコーヒーの友となれればと思っております。
ドゥエンデ 単品400円(税込)
ケーキセット(ドゥエンデ+コーヒーor紅茶)650円(税込)
4)今月のピックアップ 「エドゥアルド・チリーダ展」
当館学芸員 野中明 談
現在開催中のエドゥアルド・チリーダ展は、彫刻、版画、紙のレリーフなど
合計82点の作品によりチリーダの芸術世界を体系的にご紹介する本邦初の展
覧会です。
日本ではあまり馴染みのないチリーダ。作品の規模や重量、あるいは所蔵家
が一時でも手元から離したがらないといった諸々の事情により、これまで日
本においてなかなか紹介する機会が持てなかったチリーダですが、20世紀を
代表する芸術家の一人として欧米では既に不動の評価を得ています。
チリーダの真骨頂はなんと言っても欧米各地の公共空間に設置された大規模
な作品(場合によっては数百トンの重量がある)ですが、さすがにそれらの
作品を日本に運んでくることは不可能です。今回の出品作は、一番重い作品
で1.5トンと小規模の作品で構成されていますが、それでも十二分にチリーダ
の豊かな芸術世界を体験することが可能です。
夜明けに海を見つめながら「この波はいったいどこからやって来るのか。
この風はいったいどこからやってくるのか」といった素朴な問いかけを発し
続けたチリーダ。科学的なアプローチではなく、自然に対し自らを解放し、
そこに漂う気配やリズムを造形として視覚化することでチリーダは言葉にならない
世界を探求し続けました。
この展覧会は、おそらく日本において本格的にチリーダを紹介できる最初で
最後の展覧会です。展示も納得が行くレベルに仕上がっています。
皆様ぜひお見逃しなく。
5)アートボランティア 今月のパーソナリティ
「館運営ボランティア 舩原 明日香さん」
美術館でボランティア活動を始めて10ヶ月。大村からJRで通っているので、
活動日数は限られていますが、毎日楽しく充実した時間を過ごしています。
「地域に貢献したい」という思いがあるから続けられるのだと思います。
私の活動分野は誘導案内なので、美術館とお客様の橋渡しとして、長崎や美
術についての情報をお客様と共有しながら、これまで多くの事を学ばせて頂
きました。「素晴らしかったよ」と声をかけられると、自分が褒められたよ
うで嬉しくなります。年齢や性別をこえて、お客様やボランティアの方々と
接する中で、その分野における知識だけでなく、人の輪の中に入り交流する
ことの大切さや人の役に立つことの喜びを実感する日々です。
□────────────────────────────────○
《長崎県美術館メールマガジン》
配信中止・配信先変更は、以下のホームページからアクセスできます。
http://www.nagasaki-museum.jp/
長崎県美術館────────────────────────────