長崎県美術館 メルマガ(vol.15)
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- 長崎県美術館 メルマガ(vol.15)
- 配信日時
- 2006/5/24 13:44
メルマガ長崎県美術館
□───────────────────○2006/5/24(毎月1回発行)
鴨居玲という「長崎」
長崎県美術館館長 伊東順二
長崎県美術館も2年目に入り、前年の成功におごることなく、むしろ、
反省を踏まえて、より質の高い企画を長崎県民の方々に提供していきたい、
と思っています。
今年のテーマを「長崎と長崎」、「長崎と東洋」と致しましたのは、より
深く地域の歴史的背景と文化に触れながら、長崎という磁場の持つユニー
クな文化を世界に向けて発信したい、と思っているからです。「呼吸する
美術館」としては、深く吸い込んだ長崎を大空に吐き出して、遠い海のか
なたに、長崎が吸い込んだ歴史と、文化の成果を伝えたいと思うわけです。
その点において、5月20日から開催しています「鴨居玲展」はテーマにふ
さわしい企画である、と自負しております。
彼の父が平戸出身で、本籍も平戸のままに人生を送った鴨居は矢のような
スピードで人生を駆け抜けていった画家ですが、彼の作品には長崎の文化
の血と、西洋画を明治期に輸入して以来、日本洋画の悲願だった日本的な
オリジナリティの創造への思いが流れているように思います。
遠近法や従来の構図を無視するかのような独特な画面構成、光を無限に反
射するような筆致、そして、下地に赤を塗りこめたことによって生まれる
モノトーンながらも生命感あふれる色彩、どれをとっても鴨居であり、
また、日本美学の存在を示すものでもあります。
また、スペイン滞在後に生まれた生命と宗教のかかわりを示すような心を
打つ表現は「長崎」という彼の血脈の源泉に由来するものでしょう。
長崎でこそ見ていただきたい展覧会である、と思っています。
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INDEX
《最新情報》
1)展覧会情報
■企画展
○5/20(土)-7/17(月・祝)
「没後20年 鴨居玲展 -私の話を聞いてくれ-」
■美術館コレクション展
○5/18(木)-7/23(日)
「名誉県民富永直樹氏追悼展 」
○5/18(木)-7/23(日)
「長崎の近現代美術」
○5/17(水)-10/22(日)
「須磨コレクション1」
○5/17(水)-7/23(日)
「鴨居羊子の世界」
○5/17(水)-10/22(日)
「スペイン近現代美術1」
2)注目イベント
■企画展「没後20年 鴨居玲展 -私の話を聞いてくれ-」 関連イベント
○講演会 6/4(日)
○映画上映会 7/1(土)
○ワークショップ 6/17(土)-6/18(日)※参加者募集中(5月末日まで)
○学芸員によるギャラリートーク
企画展開催期間「5/20(土)-7/17(月・祝)」の6月4・18日を除く
水・日曜日 14:00-14:30
■アートミュージアム「イブニング・ライブ」①16:00- ②18:30-
○5/28(日)By長崎大学
○6/11(日)By活水女子大学
○6/25(日)By長崎大学
■アートビジョン
○5/5(金・祝)-6/30(金)
「平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭 受賞作品上映」
○5/5(金・祝)-6/30(金)
「第11回学生CGコンテスト
動画部門受賞作品/最終審査ノミネート作品上映」
3)カフェ情報 カフェチーフ 森田不二子談
4)今月のピックアップ「没後20年 鴨居玲展 -私の話を聞いてくれ-」
当館学芸員 森園敦談
5)アートボランティア 今月のパーソナリティ
「館運営ボランティア 財津イトエさん」
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《最新情報》
1)展覧会情報
■企画展
○5/20(土)-7/17(月・祝)
「没後20年 鴨居玲展 -私の話を聞いてくれ-」
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kikaku/index.html
■美術館コレクション展
長崎県美術館の収蔵作品の大きな柱として、長崎ゆかりの美術とスペイン
美術を3,734点所蔵しています。常設展示室ではこれらの作品を年数回の
展示替えにより随時ご紹介いたします。
○5/18(木)-7/23(日)
「名誉県民富永直樹氏追悼展 」
○5/18(木)-7/23(日)
「長崎の近現代美術」
○5/17(水)-10/22(日)
「須磨コレクション1」
○5/17(水)-7/23(日)
「鴨居羊子の世界」
○5/17(水)-10/22(日)
「スペイン近現代美術1」
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/index.html
2)注目イベント
■企画展「没後20年 鴨居玲展 -私の話を聞いてくれ-」 関連イベント
○講演会 6/4(日)
◎「鴨居玲とスペイン絵画-1971、マドリードの静止した刻-」
◇日時:6/4(日)14:00-16:00(開場は30分前)
◇講師:木下亮(昭和女子大学教授)
◇会場:ホール
◇定員:先着120名(聴講無料)
○ワークショップ ※参加者募集中(5月末日まで)
◎「自分を描く」自画像制作に油絵の具で取り組みます
◇日 時:6/17(土)12:45-18:00
6/18(日)10:00-16:00(2日間連続)
◇講 師:和田義彦(画家・国画会会員)
◇会 場:アトリエ
◇定 員:25名
◇対 象:高校生~一般
◇参加費:3,000円
※参加のお申込みはハガキまたはFAXにて、参加者氏名、
年齢(学校名・学年)、住所、電話番号、FAX番号を明記の上、
「長崎県美術館 鴨居玲展ワークショップ係」まで(5月末日必着)
〒850-0862 長崎市出島町2番1号 FAX 095-833-2115
※応募多数の場合は抽選となります。
○映画上映会
◎「女は下着で作られる」
(監修・監督 鴨居羊子 1958年 37分 日本ドキュメントフィルム社)
◇日時:7/1(土)①15:30~ ②17:30~(2回上映)
◇会場:ホール
◇定員:先着100名(入場無料)
○学芸員によるギャラリートーク
◇日時:会期中の6月4・18日を除く水・日曜日 14:00-14:30
◇会場:企画展示室
◇定員:聴講無料、但し観覧券が必要です
■アートミュージアム「イブニング・ライブ」
○5/28(日)By長崎大学 ①16:00-16:30 ②18:30-19:00
『初夏に奏でるメロディー』
トリノオリンピックで荒川静香選手が使用した『You Raise Me UP』や
前回大人気だったチョウダイ4の4人組が、あのチックコリアの
『スペイン』を演奏します。
○6/11(日)By活水女子大学 ①16:00-16:30 ②18:30-19:00
○6/25(日)By長崎大学 ①16:00-16:30 ②18:30-19:00
■アートビジョン
○5/5(金・祝)-6/30(金)①14:00-15:15 ②18:00-19:15
「平成17年度(第9回)文化庁メディア芸術祭 受賞作品上映」
○5/5(金・祝)-6/30(金)①11:30-12:55 ②16:00-17:25
「第11回学生CGコンテスト
動画部門受賞作品/最終審査ノミネート作品上映」
3)カフェ情報 カフェチーフ 森田不二子談
今回の鴨居玲展は美術館コレクション展に玲さんの実姉、羊子さんの作品
も展示されていることから、Cafeでも2種類のスウィーツが共演します。
玲さんの人間の内面の寂しさ、弱さの表現ともいえる黒を黒ゴマババロア、
羊子さんの作品に見られる女性の美を表す大胆な色彩と発想から浮かび
上がるピンクをラズベリーババロアに変身させました。一皿で2つの味を
味わっていただけます。どんな企画からでも美味しいスウィーツを誕生
させてしまうCafe。1周年も過ぎ、いつの日かCafe Sweets展覧会を催した
いですね!
4)今月のピックアップ「没後20年 鴨居玲展 -私の話を聞いてくれ-」
当館学芸員 森園敦談
長崎県美術館では7月17日まで「没後20年 鴨居玲展 -私の話を聞いて
くれ-」を開催しています。意外と知られていないのかもしれませんが、
鴨居玲は現在の平戸市田平町に本籍を持っている長崎ゆかりの画家で、
祖先は平戸松浦藩の藩士だったそうです。また、実際に生まれたのは大
阪、あるいは金沢だったのですが、鴨居は生前、プロフィールにはしば
しば長崎出身と書いていました。
暗い闇から強烈なハイライトによって対象をとらえた鴨居の作品は、
しばしば「暗い」とか「怖い」とか評されることが多いのですが、鴨居
は自虐的とも言えるほど自己と対峙することにより人間の根源を表現す
ることに徹しました。
今回当館では、企画展示室の「鴨居玲展」に合わせ、常設展示室におい
て「鴨居羊子の世界展」も同時開催しています。孤独ゆえに愛に対して
誰よりも貪欲だった似た者同士の姉弟。二人が織り成す哀しくも愛しい
世界をこの機会に是非ご覧下さい。
5)アートボランティア 今月のパーソナリティ
「館運営①誘導案内ボランティア 才津イトエさん」
長崎県美術館が開館して1年を過ぎました。お客さまも予想をはるかに
超え、ボランティアの一員として嬉しく思っています。若い頃より美術
鑑賞を自分の余暇の楽しみとしていましたが、退職後の自由な時間が出
来た事と美術館のボランティア募集とが良いタイミングでした。
お手伝いして、誰かのお役に立ってるかどうか…活動時間中お客様が
一言でもお声をかけて下さったら「良し!」と思う事からスタートし、
最近はお客様へ自然に笑顔でいる自分がいます。充実の時の流れを感じ
る私が、良い時を頂いてる様に思います。美術館の空間が好きなのです。
素晴らしい環境に建つ美術館で、たくさんのお客様、職員の方々、ボラ
ンティアの方々と出会いができ、多くの事を学ばせて頂いています。
非日常的な美術館ですが、気負わず美術館をいとおしく感じていける自
分に少しずつ変わりつつの2年生のボランティアです。
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