長崎県美術館メルマガ(vol.146)
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- 長崎県美術館メルマガ(vol.146)
- 配信日時
- 2016/8/31 11:33
メルマガ長崎県美術館
□━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━○2016/8/31
INDEX
1)館長コラム
2)展覧会情報
・スタジオ設立30周年記念 ピクサー展
・特別展「古代ギリシャ ‐時空を超えた旅‐」
・収蔵名品展(後期)
・菊畑茂久馬-月光
3)移動展
・長崎県美術館名品展 移動美術館 in 壱岐市
4)県民ギャラリー、企画展示室
・第61回長崎県美術展覧会
5)連続レクチャー:コレクション・イン・フォーカス
・第4回「永見徳太郎について(入門編)」
6)印刷ワークショップ「Enjoy Printing!」
・みえる人と、みえない人の活版ワークショップ
・夜の美術館で鑑賞会&エンボス印刷ワークショップ 【事前申込制】
7)イベント情報
・イブニングライブ 9月はお休みします
8)カフェ
・期間限定メニュー
対馬新商品開発プロジェクト「白嶽ムース」「白嶽スイートポテト」
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1)館長コラム
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「日本画家・松尾敏男先生を悼む」 館長 米田 耕司
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松尾敏男先生が8月4日午後8時20分肺炎のため90歳で逝去されました。
今年3月に卒寿を迎えられ、次回作品の発表を期待していました。
松尾先生は本県の名誉県民で、文化勲章受章者、日本芸術院会員で、
第1部(美術)部長も務められ、わが国を代表する芸術家でした。
さらには日本美術院理事長でもあり、日本画の伝統と創造の実践的
指導者として絶えず第一線で活躍をされていました。かけがえの
ない方を失った哀しみと喪失感で心に穴が開いたような寂しさで
いっぱいです。
初対面は1971(昭和46)年の春で先生が45歳、私が25歳の新米学芸員
でした。松尾先生は、横山大観の弟子・堅山南風に17歳で入門し、
師・南風宅に通い、古典の模写や運筆の練習に精進し、画道探求を
始められました。私がお会いした頃は、壮年の画家として脂の乗った
日本美術院同人になられた直後でした。取り上げるモチーフは
実に幅広く、画業初期こそ花鳥画に取り組んでいましたが、徐々に
幅を広げて行きました。伝統的な日本画団体の院展にあって、
「日本画とは日本人の心で描く絵」と定義する明晰な頭脳と
リベラルな精神で、造形的には前衛日本画の道を開拓しました。
当時タブーとも言えるミイラを描いた「樹海」(1970=昭和45年・
東京国立近代美術館蔵)を発表し、第55回再興院展で日本美術院賞・
大観賞を受賞し、出世作となりました。松尾先生は、19歳で終戦を
迎えた戦中派の世代で、人間の生と死を見つめた心象風景を描きました。
深い精神性を湛えたこれらの作品によって新境地を拓(ひら)きました。
大変優しい人柄で、かつ凛としたたたずまいと品格は終生変わらず
立派な方でした。以来45年ご指導・ご親交をいただきました。
松尾先生の出身地は長崎市の古刹・崇福寺に隣接するお宅で、
3歳まで住まわれた後、ご一家で上京されました。抜群の記憶力の
持ち主で、幼児期の寺の屋根や建物と空の色や、また松尾家が長崎を
去る時、島原出身のおテツさんというお手伝いさんが別れを惜しんで
長崎駅に見送り来た時のこと、プラットフォームで東京に向かう動く
列車を追って走る、そのホームと足を映画のように鮮明に思い出され
誠に驚くばかりでした。画家になってからも「故郷は長崎」と
経歴に書かれる根っからの長崎人でした。昨春、映画監督の山田洋次さん
と松尾先生の対談「日本画と日本映画の今後の展望」では、松尾先生は
自他ともに認める映画通で若い頃、映画評論家を志望していたという
先生のお話にもうなずけました。昨年の「長崎原爆の日」の記念式典の
後、山田監督と吉永小百合さんが当館に来られ、山田監督は
「松尾先生は本当に映画に詳しい」と称賛されました。
私が、2007(平成19)年春に長崎県美術館に着任し、ごあいさつ
申し上げたところ、3年後に「画業60年 松尾敏男回顧展」の予定が
あるので、最後の会場に長崎県美術館を、と言っていただき、
2010(平成22)年10月-11月まで開催が実現しました。長崎での
回顧展の後、2012(平成24)年秋に文化勲章受章、翌年10月には
県議会で「松尾敏男先生名誉県民顕彰式」が挙行されました。現在、
当館には、初めて長崎をテーマに描いた大作「長崎旅情」など29点の
松尾作品が所蔵されています。作品の中で先生はいつまでも生きています。
松尾先生には戦争を体験された世代の責任として「過ちを繰り返しては
ならない」との強い意志がありました。それを形にしたのが2011
(平成23)年の第1回「平和の祈りトーク&コンサート」です。
長女で音楽家の松尾由佳さんプロデュース。8月上旬の恒例行事で、
昨年の第5回コンサートの中で、「来年も来たい」とおっしゃっていました。
今年の第6回は先生の希望で8月9日に挙行しましたが、5日早く亡く
なられました。今年のコンサートは、追悼の意を込め、先生の好きだった
映画音楽「ひまわり」や由佳さんのオリジナル曲「NAGASAKI」、
アンコール曲には「故郷」を選び、多くの会場の皆さんと長崎の地から
お見送りさせていただきました。心よりご冥福をお祈りいたします。
なお、当館では9月17日から松尾敏男追悼展示を行います。どうぞ
お越しくださいますようお願い申し上げます。
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2)展覧会情報
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■企画展示室
スタジオ設立30周年記念 ピクサー展
いよいよ9月8日(木)まで
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「トイ・ストーリー」から「アーロと少年」まで数々の名作映画を
生み出してきたピクサーの設立30周年を記念する展覧会。
ピクサー作品の「ストーリー」「キャラクター」「世界観」を
ガイドラインに、映画制作の過程でスタジオ所属のアーティストたちが
生み出す手描きのドローイング、ストーリーボード、マケット(模型)
などのアートワークをご紹介します。会場内では、展覧会限定
オリジナルグッズも多数販売しています。
詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/exhibition/archives/436
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■企画展示室
特別展「古代ギリシャ ‐時空を超えた旅‐」
2016年10月14日(金)-12月11日(日)
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ヨーロッパの美の源泉である古代ギリシャ美術は、古今東西多くの
芸術家や知識人たちを魅了してきました。本展では、ギリシャ共和国
文化・スポーツ省の協力を得て、古代ギリシャ世界の黎明期から
最盛期に至るまで、壮大な歴史の流れを総合的に紹介します。
ギリシャ本国から門外不出といわれる作品が一堂に会す、またとない
機会となるでしょう。
前売券好評発売中 【前売期間】7月15日(金)-10月13日(木)
詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/exhibition/archives/439
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■常設展示室 第1・2室
収蔵名品展(後期)
2016年9月17日(土) -2017年1月9日(月・祝)
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約6,500点にのぼる所蔵作品から、名品を選りすぐって展示。
平成27年度に新たに収蔵した作品も含め、当館が誇るコレクションの
魅力をお伝えします。また、本年8月に逝去された長崎県名誉県民で
ある日本画家・松尾敏男氏を追悼する展示も併せて行う予定です。
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■常設展示室 第4室
菊畑茂久馬-月光
2016年9月13日(火)-11月27日(日)
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福岡市を拠点に制作を続ける菊畑茂久馬(1935年長崎市生まれ)は、
戦後の日本美術における最重要作家の一人です。今回の展示では
大型油彩画のシリーズ「月光」を油彩画および水彩のドローイングに
よりご紹介します。幼い頃に過ごした五島の海や空の鮮烈な「青」を
その原風景に持つ菊畑。かつて「絵画」を「海」に譬えた作家が
創り出す玄妙で繊細な世界をご堪能ください。
詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/permanent/archives/229
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3)移動展
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長崎県美術館名品展 移動美術館 in 壱岐市
2016年9月10日(土)-9月19日(月・祝) 8:45-17:30
※休館日9月12日(月)
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ピカソなどスペインを代表する巨匠たちや山口幹雄、長岡秀星、
深見隆といった壱岐市ゆかりの作家の作品24点を展示します。
詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?id=1497&command=mobile
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4)県民ギャラリー、企画展示室
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第61回長崎県美術展覧会
2016年9月18日(日)-10月2日(日)10:00-20:00(最終日は18:00まで)
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県内公募作品展(日本画・洋画・彫刻・工芸・書・デザイン・写真)の
入選作品を長崎会場(県美術館)、佐世保会場(島瀬美術センター)、
諫早会場(諫早市美術・歴史館)に展示。
特別企画として子ども達対象のワークショップ、選抜作家等の出品に
よるオークションも併催。(長崎会場のみ)
詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?id=1433&command=rental
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5)連続レクチャー:コレクション・イン・フォーカス
当館学芸員をはじめ専門家が主にコレクションをめぐってさまざまな
テーマで語ります。全10回。
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第4回「永見徳太郎について(入門編)」
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近世長崎の美術のコレクターであり、芸術家たちのパトロンで、
かつ作家でもあった長崎の大文化人・永見徳太郎を紹介します。
日時|9月11日(日)11:00-(約45分)
講師|伊藤 晴子(長崎県文化振興課)
会場|講座室
定員|40名
◎聴講無料、当日受付
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スケジュールの詳細はこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/news/archives/33
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6)印刷ワークショップ「Enjoy Printing!」
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みえる人と、みえない人の活版ワークショップ
2016年9月18日(日)10:30-15:00 ※当日随時受付(14:30最終受付)
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活版で長崎モチーフの絵柄のカードを印刷します。また、点字新聞を
再利用した封筒を作ります。会場には活版や点字印刷に関する
展示&体験コーナーも設置します。印刷の音、インクのにおい、
印刷の凹凸の感触を味わいながら楽しい時間を過ごしましょう。
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夜の美術館で鑑賞会&エンボス印刷ワークショップ ※事前申込制
2016年9月18日(日)18:00-19:45
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常設展示室を鑑賞したのち、「エンボス印刷」でカードを作ります。
また特別ゲストによるミニレクチャー「印刷のはなし」も予定しています。
詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?id=3303&command=education
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7)イベント情報
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イブニングライブ
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9月はお休みをいただきます。10月の演奏は、10月2日(日)活水女子大学、
10月23日(日)長崎大学卒業生スペシャルです。お楽しみに!
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8)カフェ
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期間限定メニュー ※提供期間:9月18日(日)-10月2日(日)
対馬新商品開発プロジェクト「白嶽ムース」「白嶽スイートポテト」
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長崎県立対馬高等学校プロデュースのスウィーツを提供します。
白嶽ムースは、ブルーベリーソースに対馬の名酒「白嶽(日本酒)」を
使ったさわやかな甘みのヨーグルトムース(アルコール分は入っていま
せん)。白嶽スイートポテトは対馬の名峰白嶽をイメージ。
対馬の孝行芋(サツマイモ)からとれる「白せん」をタルト生地に入れ、
中には大学芋が入っています。
単品:500円(税込) ドリンクセット:750円(税込)
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通常営業時間
【4月-9月8日】10:00-20:00
フード|11:00-17:00オーダーストップ
スウィーツ・ドリンク|19:30オーダーストップ
【9月9日-3月】11:00-19:00
フード|17:00オーダーストップ
スウィーツ・ドリンク|18:30オーダーストップ
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《お問合せ》長崎県美術館 長崎市出島町2-1 tel095-833-2110
【開館時間】10:00-20:00
【休館日】第2・第4月曜(祝日の場合は翌火曜)
《長崎県美術館メールマガジン》
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