長崎県美術館 メルマガ(vol.30)

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長崎県美術館 メルマガ(vol.30)
配信日時
2007/6/28 11:47
本文
(vol.30)──────────────────────────

メルマガ長崎県美術館

□───────────────────○2007/6/28(毎月1回発行)

「梅雨に想う」

 気象庁の入梅宣言の後、関東ではほとんど雨が降らず連日の真夏日で
この夏の水不足が心配だと報道されています。しかし、長崎の梅雨は真
面目なのか?よく雨が降っているようです。鬱陶しく思うかもしれませ
んが、日本文化の根底にかかわる四季の移ろいに欠かせないのがこの梅
雨なのです。
 日本の中世を代表する考え方の一つである無常観もこの梅雨があって
こそ生まれたと思います。この世のものは全てのものは生じては滅ぶ、
移り変わって、決して永遠ではないという想いが文学や美術、音楽など
に地下水脈としてながれています。
 この緑豊かな山紫水明のみずみずしい風土を作り出し、保ってきたも
のこそ黒潮とヒマラヤのお陰なのです。黒潮とは台湾沖から房総沖まで
の海流に限定して定義されています。黒くみえるほど深い藍色に澄んで
いるので黒潮と呼ばれ、その流れは人が歩くより速いところから高瀬川
とも呼ばれています。
 長崎県の西の近海を北上する対馬暖流は黒潮の支流です。長崎県には
西日本にありながら優れた縄文時代の遺跡も多いと聞いてきました。
黒潮は水温が高く(夏25~30℃、冬でも15℃以上あります)、水蒸気を
巻き上げながら日本列島に降りかかり湿潤な森林を育んできました。
ヒマラヤ南麓から雲南を経て東南アジアの文化要素をわが国に運んでき
た照葉樹林文化の道、つまり稲作以前の日本文化のルーツであり、今日
まで日本民族の文化や生活様式に影響を与えています。
 一方、赤道で温められた水蒸気がインド亜大陸へ北上し、8000メート
ル級のヒマラヤの山脈にはばまれて越すことができず、偏西風で東に運
ばれてきたものが梅雨前線です。衛星写真で日本列島の南北をぐるりと
見るとほとんどが砂漠だということがお分かりになると思います。
地球温暖化で異常気象が心配されていますが、もし日本の四季がなくな
るとしたら、日本の美術、日本の文化はどうなるのだろうか、と心配に
なってきます。豊かな自然と香り高い文化的環境をまもるために美術館
もなにかしなければならないと考えます。梅雨空を見上げながら、鬱陶
しいと思っていた雨に日本美術の情緒と風情を感じ、何かありがたく思
えてくるのです。

長崎県美術館 館長 米田耕司

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《最新情報》

1)展覧会情報

■企画展 
○5/26(土)- 7/1(日)
『NHK日曜美術館30年展』
美術番組の草分け的存在である「日曜美術館」は、1976年の放送開始から
1500回を超える長寿番組。現在、放送開始30年を迎えたのを記念した、
展覧会を開催中です。今までの放送で取り上げられた作品・作家の中から、
厳選した名品を中心に、懐かしい番組出演者が語る貴重な映像を交えなが
ら紹介しています。

http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kikaku/index.html

○7/13(金)-9/2(日)
『CAPA's WORLD ロバート・キャパ -その生涯と作品-』
スペイン市民戦争取材中に撮影した伝説的な写真《崩れ落ちる兵士》により、
一躍世界的写真家となったロバート・キャパ(1913-1954)。死後50年以上を
経た現在においても、その名声はますます高まっています。本展では、東京
富士美術館のコレクションから、スペイン市民戦争をめぐる作品群を中心に、
青年期からインドシナ戦線取材中に亡くなる直前に写された最後の作品に至
るまで、キャパの活動の全てをご紹介します。

http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do;jsessionid=9AAB23114BB88D1ACB6F288EE1C724F7?command=plan&id=250

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■美術館コレクション展
長崎県美術館の収蔵作品の大きな柱として、長崎ゆかりの美術とスペイン
美術を所蔵しています。常設展示室ではこれらの作品を年数回の展示替えに
より随時ご紹介いたします。

○6/12(火)-8/18(土)
「野口彌太郎とその交友」
○6/12(火)-8/18(土)
「三川内焼の美-中里陽山(末太郎)を中心に」
○4/24(火)-8/26(日)
「須磨コレクション1」
○4/24(火)-7/8(日)
「須磨コレクションの紙作品」
○4/24(火)-8/26(日)
「スペイン近現代美術1」
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/index.html

《展示替え》
■小企画展
○7/10(火)-9/24(月・祝)
山端庸介「ナガサキ・ジャーニー」
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do;jsessionid=063F3B8092EC10E8FAC243AA463E6B2C?command=standing&id=307

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2)注目イベント

■CAPA's WORLD ロバート・キャパ -その生涯と作品-展 関連企画
○ホールトーク「ロバート・キャパ その生涯と作品」
 ◇講師:吉岡栄二郎(東京富士美術館研究員)
 ◇日時:7月13日(金)11:00-12:10
 ◇会場:ホール
 ◇料金:聴講無料。ただし本展の観覧券が必要です。
 ◇定員:先着100名。当日、整理券を発行します。

○ギャラリートーク
 ◇日時:毎週日曜日 ①11:00-(7/22、7/29、8/5は除く) ②14:00-
 ◇会場:企画展示室
 ◇料金:観覧券が必要です

○サマーアートクラブ「ピンホールカメラを作ろう!」
 ◇日時:7/26(木)-28(土)の3日間連続受講
 ◇会場:企画展示室・アトリエ
 ◇定員:①10:00-12:30 小学1-3年生 20名 
 ②14:00-16:30 小学4-6年生 20名  
 ◇料金:2000円
 ※事前申し込みが必要です。

[申し込み方法]
 官製ハガキに、住所・氏名・学校名・保護者名・学年・TEL・FAXをお書き
 の上、下記までお申込み下さい。※申込締切 7/8(日)必着
 〒850-0862 長崎市出島町2-1
 長崎県美術館「サマーアートクラブ」係

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■美術館コレクション展 関連企画
○学芸員によるギャラリートーク
 ◇日時:毎週日曜日 15:00-15:45
 ◇会場:常設展示室
 ◇料金:観覧券が必要です 

○アートボランティアによるギャラリートーク
 ◇日時:毎週土曜日 15:00-15:45(7/7より①13:00-13:45、②15:00-15:45)
 ◇会場:常設展示室
 ◇料金:観覧券が必要です

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■教育プログラム
○こどもの広場 「手作りのおもちゃ箱2」
 ◇日時:7/7(土)・8(日)10:00-17:00
 ◇会場:アトリエ ◇受付:10:00、11:00、13:00、14:00、15:00、16:00
 ◇対象:小学生~(各回定員30名)
 ◇料金:材料費1人100円 ※入場のみは無料

○かみしばいタイム
 ◇日時:7/7(土)・8(日)12:00-13:00
 ◇会場:ホール
 ◇対象:小学生以下
 ◇定員:100名 当日受付
 ◇料金:入場無料

http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do;jsessionid=12EE7220EF2B5212FE207E05B0A416A7?command=education&id=498

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■アートミュージアム「イブニング・ライブ」

毎月第2・4日曜日の夕方から夜にかけて活水女子大学音楽学部と長崎大学
教育学部の音楽家のみなさんが素敵な音楽を奏でます。
『美術』と『音楽』の融合…あなたの日曜の夕方~夜の過ごし方に加えて
みませんか?

○7/8(日)By活水女子大学 ①16:00- ②18:30-
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=lecture&id=470

○7/22(日)By長崎大学 ①16:00- ②18:30-
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=lecture&id=475

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■平成18年度[第10回]文化庁メディア芸術祭/
 第12回学生CGコンテスト 動画部門 優秀作品上映

日本におけるメディア芸術コンテストの最高峰、「文化庁メディア芸術祭」
受賞作品と協賛事業でもある「学生CGコンテスト」動画部門の優秀作品を
上映します。大画面で鑑賞したい方はアートビジョンで、座ってゆっくり
鑑賞したい方はホールでどうぞ。

○6/1(金)-7/29(日)
 ◇場所:アートビジョン(1日2回上映)
     ホール 7/1(日)、15(日)16:00-18:30
 ※視聴無料
 上映スケジュールは下記をご覧下さい。
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/event/artvision.html

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3)今月のピックアップ「CAPA's WORLD ロバート・キャパ -その生涯と作品-」
 当館学芸員 野中明談

スティーブン・スピルバーグ監督、トム・ハンクス主演の映画「プライベー
ト・ライアン」をご覧になった方は、そのオープニング・シーンの迫真性に
度肝を抜かれたことでしょう。 “チュン”という無機的な風切り音とともに
容赦なく浴びせられる弾丸、迫撃砲の爆発とともに肉塊と化し飛び散る人体、
血に染まった波打ち際に揺れる死体の数々。連合軍のノルマンディ上陸作戦
を再現したこの酸鼻を極めるシーンは、実はロバート・キャパ(1913-54)が
撮影した写真を基に製作されています。1944年6月6日の作戦決行日“D-DAY”
に連合軍に同行したキャパは、極限ともいえる状況の中、死の恐怖に晒され
ながらシャッターを切り、目の前で起こっている出来事を記録しました。
20世紀最大の報道写真家として知られるキャパは、他にもスペイン市民戦争、
日中戦争、第一次中東戦争など大規模な戦争の前線を取材し、その悲惨な現
実の光景とともにそこに渦巻く人間の感情をも捉えた忘れがたいイメージを
世界に発信しました。
「人々を好きになることだ。そして、君が彼らを好きだということを彼らに
知らせることさ」と若い写真家たちに語ったキャパ。茶目っ気たっぷりの黒
い瞳でアーネスト・ヘミングウェイやジョン・スタインベック、ピカソと
いった文学者や芸術家をも魅了し、更には女優のイングリット・バーグマン
から熱烈な愛を捧げられた彼の人間性はその言葉に集約されていると言える
でしょう。
今回の展覧会では、“D-DAY”に取材した作品や“世紀の一枚”と言われる
出世作《崩れ落ちる兵士》を含む厳選された約250点の作品により、魅力あ
ふれるキャパの全貌をご紹介します。

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4)カフェ情報「この夏 カヴァ酒で・・」
 カフェチーフ 西田朋子談

きらきらと輝く運河の水辺を眺めながら、冷えたカヴァ酒を楽しむひととき・・
フルートグラスに立ち上がるカヴァ酒の香りとともにゴルゴンゾーラチーズや
生ハムも美味しくいただけます。
カヴァ酒とは、スペイン産のスパークリングワインのことです。コルドン
ネグロはすっきりとした爽やかな飲み心地です。
夏の昼下がり、美術を楽しまれた後は、美味しい優雅な時をお過ごし下さい。

 
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