長崎県美術館 メルマガ(vol.40)
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- 長崎県美術館 メルマガ(vol.40)
- 配信日時
- 2008/3/27 14:18
メルマガ長崎県美術館
□───────────────────○2008/3/27(毎月1回発行)
着任1年目を振返って
長崎県美術館 館長 米田耕司
早春の梅や桃の便りを楽しんでいる内、桜の開花宣言が全国各地から届く
季節となりました。「黒澤明展」もいよいよ終盤です。
平成19年度もいよいよ残すところ数日となりました。どんな時でも地球
は回っているなあと、当たり前のことながら感慨深く思います。
お蔭様で長崎県美術館に着任して間もなく満1年が終わろうとしていま
す。長いようで短い、人参を追う馬のような1年でした。様々な美術館
事業を通じて館内外の多くの皆様からご支援ご鞭撻を賜りました。お蔭
様で新年度を迎えることができます。
新任の館長に温かいご支援ご協力を賜り深く感謝申し上げます。
私は、3月21日・22日の両日神奈川県・葉山町の湘南国際村文化センター
で開催の第3回21世紀ミュージアム・サミット「ミュージアム・イノベー
ション」の第1部円卓フォーラムに参加してきました。主催、かながわ国
際交流財団・日本経済新聞社。国際交流基金の助成事業で、後援、文化
庁や全国美術館会議などで開催される国際会議です。毎回海外から4名
の美術館の館長等を招聘してわが国の美術館関係者と討議する最先端の
会議です。このサミットは隔年開催で、私は第1回から毎回参加してい
ます。2004年の第1回のテーマ「文化の継承と創造」、2006年の第2回の
テーマ「21世紀美術館は生き残れるか?」でしたが、第3回の今回のテー
マは「新しい美術館像を求めて」でサミットのタイトルに「ミュージア
ム・イノベーション」が付加されるようになり、美術館の変革がメーン・
テーマです。第2部シンポジウム「ミュージアム・イノベーション-変わる
ミュージアム」のサブタイトルは「7年間で入館者数200万人に増やした
ルーヴル美術館のマネージメントをさぐる」で4月2日東京の日経ホール
にルーヴル美術館長のアンリ・ロワレット氏を招き開催されます。
美術館冬の時代・氷河期などと言われる今日、美術館は意識改革をはじ
め、様々な変革が求められています。しかし一方で、21世紀は「文化芸
術と情報の世紀」とも「文化と経済の世紀」ともいわれ、ヨーロッパで
は文化が、国家が生き延びるための重要なアイテムになっています。
21世紀は都市間競争の時代、文化への投資は都市全体の競争力を高め、
文化活動を展開する地域が活性化し元気になるという世界的動向を感じ
ることができました。現在は困難が多くても、ミュージアムの未来は明
るいという印象です。特に当館は数名の50歳代幹部職員が総務・マネージ
メントを担当するベテランの手堅い仕事と、平均年齢30歳代前半という
若くて、意欲的な粒ぞろいの職員に恵まれています。間もなく4月23日
に開館3周年を迎えるという活気ある未来志向の若い美術館です。
年度末、1年間の美術館活動を振返り、館の各部署が創意工夫をして力を
合わせて美術館の使命・任務達成のため積極的に諸事業に取り組んでいる
姿が浮かんできます。10月のカフェ・リニューアル、ショップの運営改善、
地味だが利用者の安全など館内外の施設管理、12月からのクリスマスや正
月をはさみ、館に隣接する運河沿いに設置したイルミネーションが九州電
力から特別賞を受賞しました。正月からの「山岡コレクション展」では、
後半ですが広報の若い職員を中心に大型商業施設・夢彩都の前で、連日
チラシの配布活動を行い、広報活動を自発的に行っていたことには感動
しました。「言うは安く、行うは難し」です。それを見事にやってのけ
ました。若いエネルギーに脱帽。
企画展「渡辺与平展」では与平の作品「ネルのきもの」「帯」などに因
んだイベントを開催。着物の図柄と季節感を着つけで学び、和服姿になっ
た参加者と同じく和服姿の担当学芸員によるギャラリートーク。与平の
展示室は、女性職員たちも和服に着替え(中には龍馬然のブーツに着物)
絵画と着物の美しいコラボレーションのある光景でした。当館の学芸員
は研究活動も活発ですが、ギャラリートークなど生涯学習活動も積極的
です。こどもアートクラブなどで、エデュケーターなどとともに来館者
に喜んでもらえるよう創意工夫に余念がありません。学芸活動を支える
ミュージアム・ライブラリアン(司書)や美術作品の修復家も頑張って
います。サミットでの討論にあったわが国の美術館で散見される研究活
動には熱心だが市民との活動が苦手な「蛸壺学芸員」とは断然違うとこ
ろも当館の良い点です。移動美術館では南島原市と平戸市(生月島)で
展示とワークショップを、3年間続けている遠隔地授業は県立鹿町工業
高校の生徒たちが3月に来館し、まとめの授業ができました。出前授業
などと、日常の「スクールプログラム」でのオリエンテーション・館内
ツアー・鑑賞・表現・自由観覧など学校教育との連携事業としての成果
だと思っています。ボランティアの皆さんが、ギャラリートークや教育
事業、図書、編集、広報、情報コーナーはじめ草むしりにいたるまで館
業務を支えていただいております。
年度末に当たり、1年間のご労苦に感謝するとともに次年度もどうぞ
よろしくお願い申し上げます。
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展覧会情報
■企画展
○2/29(金)-3/30(日)
「黒澤明 絵コンテの世界」
世界中の映画人に多大な影響を与えた映画監督・黒澤明は、18歳で
二科展入選を果たすほどの画才の持ち主でもありました。本展は、
残された膨大な絵コンテの中から厳選された作品を展示。
巨匠・黒澤の創作の秘密に迫ります。
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kikaku/index.html
○4/5(土)-5/25(日)
「福山雅治『 PHOTO STAGE3- 残響 - 』」
福山雅治初の写真集『f5.6のハロー1/125のサヨナラ』を中心とし
た作品群と、大村克巳、瀬尾浩司、ハービー・山口、OIDA HIDEO、
4人の写真家が捉えた「被写体 福山雅治」、そして参加する5人の
作家がリスペクトする「植田正治の作品」で構成されます。また、
故郷長崎で幾度か敢行された福山雅治と大村克巳のフォトセッション
から生まれた作品が初めて公開されます。
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=plan&id=359
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■美術館コレクション展
長崎県美術館は、主に長崎ゆかりの美術とスペイン美術を収集して
います。常設展示室ではこれらの作品を年数回の展示替えにより
随時ご紹介いたします。
○3/12(水)-6/8(日)
「医学史展覧会-長崎にもたらされた西洋医学-」
○3/12(水)-6/8(日)
「川原慶賀と江戸後期の長崎派」
○3/25(火)-6/22(日)
「須磨コレクション1」
○3/11(火)-4/27(日)
「瀧口修造/アントニ・タピエス『物質のまなざし』 」
○3/25(火)-6/22(日)
「スペイン近現代美術1」
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/index.html
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注目イベント
■美術館開館3周年企画
○米田館長講演会
◇日時:4/26(土)14:00-15:30(開場13:30)
◇会場:ホール
◇定員:先着100名
◇料金:聴講無料
○講演会「スペインにおけるジャポニズム」
◇講師:マリア・ピラール・カバーニャス・モレーノ
(マドリード、コンプルテンセ大学教授)※逐次通訳付
◇日時:4/27(日)14:00-16:00(開場13:30)
◇会場:ホール
◇定員:先着100名
◇料金:聴講無料
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■『美術館コレクション展』関連企画
○学芸員によるギャラリートーク
◇日時:毎週日曜日 15:00-16:00
◇会場:常設展示室
◇料金:観覧券が必要です。
○アートボランティアによるギャラリートーク
◇日時:毎週土曜日 (1)13:30-14:15 (2)15:00-15:45
◇会場:常設展示室
◇料金:観覧券が必要です。
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■教育プログラム
○アートクラブ参加者募集
恒例のこどもアートクラブとサマーアートクラブ、親子アートクラブ
にくわえて、今年から新たにおとなアートクラブがはじまります!
18歳以上を対象とした美術について楽しく学べるクラブです。
詳しくは、館内においてあるリーフレットをご覧下さい。
お申込みは専用ハガキで。
※応募多数の場合は、抽選となります。(初参加者を優先いたします)
『こどもアートクラブ、親子アートクラブ、おとなアートクラブ』
申込締切:4/18(金)必着
『サマーアートクラブ』申込締切:6/30(月)必着
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kyouiku/index.html
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■イブニング・ライブ
毎月第2・4日曜日の夕方から夜にかけて活水女子大学音楽学部と
長崎大学教育学部の音楽家のみなさんが素敵な音楽を奏でます。
『美術』と『音楽』の融合…あなたの日曜の夕方から夜の過ごし方
に加えてみませんか?
○4/13(日)By活水女子大学 (1)16:30-17:00 (2)18:30-19:00
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=lecture&id=682
○4/27(日)By長崎大学 (1)16:30-17:00 (2)18:30-19:00
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=lecture&id=683
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今月のピックアップ
「医学史展覧会-長崎にもたらされた西洋医学-」当館学芸員 伊藤晴子
日本外科学会の第108回定期学術集会が、5月15日(木)-17日(土)に
長崎市で開催されるのを記念し、同学会との共催で「医学史展覧会」を
開催しております。
現在ご紹介しておりますのは、長崎歴史文化博物館所蔵のシーボルト
および川原慶賀に関する資料です。通常、美術館から「らんらんバス」
で20分ほどの同博物館で公開されている資料の皆さんですが、少しの間、
美術館に遊びに来てもらっております。(長崎くんちの「お旅所」の
ようなものでしょうか。)
歴史に関心をお持ちの方と、美術に関心をお持ちの方は、微妙に違う
ようで、県内の両方の資料・作品を十分にご存知の方は少ないようです。
普段、美術館にお越しいただいている皆様に、長崎の歴史をご紹介し、
さらに長崎歴史文化博物館に足をのばしていただくこと、また逆に、
長崎の歴史好きの方々にも、美術館のコレクションを合わせてご観覧
いただく機会となればと考えております。両館の小さな交流の一環と
して捉えて頂ければ幸いです(今回、長崎県文化振興課に尽力いただ
きました)。
また5月2日-18日には、さらにシーボルト記念館より重要文化財をお
借りし、展示させていただきます。ご期待ください。
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ショップ情報
「新商品紹介」ミュージアムショップ チーフ 林田美奈子
ショップでは来年度末の「世界大風呂敷展」に向けて、地球に優しい
エコグッズをお勧めしていきます。今回はまず2点です。
ショップに新たなオリジナルグッズ「曜日ハンカチ」(1枚1,050円)
が入荷します。日頃ティッシュや紙タオルなどを使いがちですがハンカ
チを使えば資源の無駄遣いを減らす事ができますよね。このハンカチの
柄は5種類で、白の綿生地に月・火・水・木・金と一文字ずつプリント
してあります。学校や会社に行く時、月曜日には「月ハンカチ」を、
火曜日には「火ハンカチ」を携帯して下さい。それを使うと回りの人に
ハンカチを毎日交換する清潔な人だと思われる事間違いありません。
お好きな曜日からどうぞ。
カフェで入れているあの美味しいコーヒーは、地球環境保全に向けて、
熱帯雨林を保護することを目的に設立されたレインフォレスト アライ
アンス (熱帯雨林同盟)の認証を受けたコーヒーです。UCCから業務用
でのみ販売されているコーヒー豆をショップで販売できる事になりました。
上柿元シェフお勧めのコーヒーを、是非ご家庭でお楽しみ下さい。
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《お問合せ》長崎県美術館 長崎市出島町2-1 tel095-833-2110
【休館日】第2・第4月曜(祝日の場合は翌火曜)
※4/28(月)は臨時開館
《長崎県美術館メールマガジン》
配信中止・配信先変更は、以下のホームページからアクセスできます。
http://www.nagasaki-museum.jp/
長崎県美術館──────────────────────────