長崎県美術館 メルマガ(vol.43)

件名
長崎県美術館 メルマガ(vol.43)
配信日時
2008/6/27 11:14
本文
(vol.43)────────────────────────── メルマガ長崎県美術館 □───────────────────○2008/6/27(毎月1回発行) 「福山雅治展と浮世絵名品展」                 長崎県美術館 館長 米田耕司  6月も間もなく終盤、関東より遅い九州の入梅で連日の雨模様。 皆さまお元気ですか。蒸し暑く鬱陶しい風景の中、梅雨の時期らし い花菖蒲や紫陽花の美しさにほっとします。  4月から5月25日まで開催した「福山雅治 PHOTO STAGE3 -残響-」 は、開館3周年を飾る展覧会でした。福山雅治さんが長崎市出身と いうこともあって、初日の開館前から長蛇の列が美術館を取り巻き、 連日活況を呈していました。4万人の目標を大きく上回る約7万人 (69,191人)の入場者を迎え、63%が県外の来館者でした。そして 87%が女性。年齢構成は10代9%、20代22%、30代40%、40代19%。 50代以上12%でした。10-30代の若者の合計が71%で、当館に初め て来館したという初回来館者は72%でした。若者の利用が印象的で したが、同時に50代以上の女性の利用も多く、母娘で鑑賞する姿も 連日見られ微笑ましい光景でした。  約7万人の来館者の残した経済波及効果は約10億円程度という 試算です。その63%の県外入館者の内、少なくとも3万人が長崎に 宿泊しています。ホテル関係者や周辺の飲食店、中華街の方々から、 美術館のパンフなどをもって食事に来るお客さんが数多かったと喜 ばれ、タクシーの運転手さんからも感謝されました。  私は、昨年春の着任時に2つの目標をお話しました。一つは長崎 をはじめとする未来を担う10代の青少年を育てたい。○か×かの二 者択一や五者択一の思考のマニュアル人間ではなく、自分の目で見 て、心で感動し、自分の頭で考える創造的な若者を育てたい。もう 一つは、文化芸術で町おこし、地域振興に美術館として貢献し、少 しでも元気な長崎県にしたい。4年前の2004年3月に東京と神奈川県 で第1回21世紀ミュージアム・サミットが開催されました。その時に 来日のフランソワーズ・カシャン女史(前フランス美術館総局長・ 元オルセー美術館長)は、「ヨーロッパ、アジア、アメリカなど世 界中の美術館は皆赤字です。しかし、美術館は儲からなくても、地 域経済の発展や文化の継承など間接的には地域を元気にしていく力 がある」というお話をされました。福山雅治展はその一例です。  現在開催中の「ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵 初公開 浮世絵名品展」(7月13日まで)は6月24日に入場者1万人目を迎え ました。大英博物館と並ぶイギリスを代表するミュージアムの V&A美術館の秘蔵の約25000点の浮世絵コレクションから選りすぐり の174点による貴重な展観です。監修者の永田生慈さんは私の30年来 の友人で葛飾北斎研究の第一人者です。6月1日の当館での講演会 「浮世絵の魅力とV&A美術館のコレクション」は名講義でした。県 民の皆さまのリクエストによる展覧会で、長崎では40年ぶりの浮世 絵展です。むしろ初めてと言ってよい本格的な内容で、絶好の鑑賞 の機会です。展覧会準備のため来日したV&A美術館の女性スタッフ のリジー・ケイポンさんは、展示作業終了後にお話をしたところ、 長崎での展覧会終了後に、このままの内容で展示構成し、イギリス の国民に見せたいと言っていました。この展覧会では、日本が世界 から高く評価されている日本美術の魅力を中高年の方々はもとより、 若い人たちにも是非観ていただきたいものです。日本美術の本物と 対話する良いチャンスです。見逃した方が残念がる展覧会です。  しかし、見逃してもイギリスでもう一度里帰り展が開催されるので、 長崎とロンドンの展示を見比べて観るのも楽しいかも知れません。 どうぞこの好機にお越しください。 □─────────────────────────────○ INDEX 1)展覧会情報 2)注目イベント 3)今月のピックアップ(1) 今月のピックアップ(2) 4)ミュージアムショップ情報 □─────────────────────────────○ 1)展覧会情報 ■企画展  ○6/1(日)-7/13(日) 「ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵 初公開 浮世絵名品展」 独創性豊かな日本的美意識や色使い、現代の目で見るとファンキー とも言えるような美的感覚。江戸時代の庶民の生活を描いた浮世絵は、 かつて海外の印象派の画家たちにも多大な影響を与えました。 ヴィクトリア&アルバート美術館は、大英博物館と並んでイギリスを 代表するミュージアムです。そこには25,000点を超える膨大な浮世絵 コレクションが含まれており、今回はその中から厳選された約170件の 作品をご紹介します。春信、歌麿、北斎、広重ら著名な作家の里帰り した名品の数々をお楽しみ下さい。 http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kikaku/index.html ○7/23(水)-8/31(日) 「ホセ・マリア・シシリア 1998-2008」 1980年代にスペイン現代美術界にデビューしたシシリア(1954-)は、 花や蝶をモティーフに、蜜蝋と油彩を使った大画面の作品を制作して います。彼の描く花は、生命や宇宙の象徴であり、見る者の五感をダ イレクトに揺さぶる神秘的な美しさを湛えています。本展では、そう したシシリアの魅力を、この10年間の仕事によってご紹介します。 http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=plan&id=361 ─────────────────────────────── ■美術館コレクション展 長崎県美術館は、主に長崎ゆかりの美術とスペイン美術を収集して います。常設展示室ではこれらの作品を年数回の展示替えにより 随時ご紹介いたします。 ○6/14(土)-9/7(日) 小企画展 「永井敬二コレクションより エンツォ・マーリ100のプロジェット」展 デザインの本質を常に問いながら、計画、製造など携わる人々全てに とっての創造的な活動とはなにかと模索し、その功績が高く評価されて いるイタリアデザイン界の巨匠エンツォ・マーリ(Enzo Mari)の作品 を、永井敬二コレクションを中心に波佐見焼の職人たちとの共同開発な どを交え紹介します。 http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/enzomari.html ○6/24(火)-10/13(月・祝) 「須磨コレクション2」 ○4/29(火)-7/13(日) 「ゴヤ『戦争の惨禍』2」 ○6/24(火)-10/13(月・祝) 「スペイン近現代美術2」 http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/index.html 《展示替え》 ○7/15(火)-10/13(月・祝) 「東松照明『ブリージングアース』」 http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=standing&id=380 ================================ 2)注目イベント ■「ヴィクトリア&アルバート美術館所蔵 初公開 浮世絵名品展」 関連企画 ○学芸員によるギャラリートーク  ◇日時:毎週土曜日 17:00-  ◇会場:企画展示室  ◇料金:観覧券が必要です。  ─────────────────────────────── ■「ホセ・マリア・シシリア 1998-2008」関連企画 ○シシリアさんのワークショップ  ◇日時:7/25(金)、26日(土)11:00-15:00(受付10:30-)      ※要事前申し込み。2日間連続参加。  ◇講師:ホセ・マリア・シシリア  ◇会場:アトリエ  ◇対象:小学生(1-6年)  ◇定員:30名  ◇参加費:500円  ◇申込締切:7月13日(必着) 申し込み方法はこちら>> http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=lecture&id=799 ─────────────────────────────── ■『美術館コレクション展』関連企画 ○学芸員によるギャラリートーク  ◇日時:毎週日曜日 15:00-15:45  ◇会場:常設展示室  ◇料金:観覧券が必要です。  ○アートボランティアによるギャラリートーク  ◇日時:毎週土曜日 (1)13:30-14:15 (2)15:00-15:45  ◇会場:常設展示室  ◇料金:観覧券が必要です。 ─────────────────────────────── ■教育普及・生涯学習事業 みんなのアトリエ ○手作りのおもちゃ箱3 宝ものをつくろう! 身近な素材を使って、自分たちの手で、心にのこるすてきなおもちゃを つくりませんか?長崎大学学生サポーターのみなさんが制作をお手伝い いたします。(完成した作品はお持ち帰りいただけます。)  ◇日時:7/5(土)・6(日)10:00-17:00  ◇受付時間:(1)10:00 (2)11:00 (3)13:00 (4)14:00        (5)15:00 (6)16:00  ◇場所:アトリエ  ◇所要時間:約30分  ◇各回参加定員:40名  ◇対象:5歳から  ◇参加費:1回100円※入場のみは無料です。  ◇参加方法:当日受付、先着順 (同時開催) ○ようこそ!絵本の国へ 大学生が絵本の読み語りを行います。保護者の皆様もお子様とご一緒に ふるってご参加下さい。  ◇日時:7/5(土)・6(日)(1)11:00- (2)12:00-  ◇場所:ホール  ◇対象:小学生以下  ◇定員:100名  ◇参加方法:当日受付、入場無料 http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=education&id=782 ─────────────────────────────── ■音楽イベント ○Ringin' Bells Rondo Club キラキラ★コンサート 世界的アコーディオン奏者cobaをも興奮させた、現在九州で最も注目 すべきトリオがついに美術館に登場!さまざまなジャンルの垣根を自 由に飛び越える音楽は、子どもから大人までをウキウキに楽しませて くれるでしょう!  ◇日時:7/6(日)(1)13:30-14:00 (2)17:00-17:30  ◇演奏:『Ringin' Bells Rondo Club(リンギン ベルズ ロンド クラブ)』      アコーディオン/新井武人      ヴァイオリン/中西弾      ピアノ/中島千智  ◇会場:エントランスロビー  ◇料金:無料 詳しくはこちら>> http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do;jsessionid=2854A5B79359FA469AD3E758A2E6010E?command=lecture&id=786 ○イブニングライブ 毎月第2・4日曜日の夕方から夜にかけて活水女子大学音楽学部と 長崎大学教育学部の音楽家のみなさんが素敵な音楽を奏でます。 『美術』と『音楽』の融合…あなたの日曜の夕方から夜の過ごし方 に加えてみませんか? ・7/13(日)By活水女子大学 (1)16:30-17:00 (2)18:30-19:00 http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do;jsessionid=2854A5B79359FA469AD3E758A2E6010E?command=lecture&id=688 ・7/20(日)By長崎大学 (1)16:30-17:00 (2)18:30-19:00 http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do;jsessionid=2854A5B79359FA469AD3E758A2E6010E?command=lecture&id=690 ================================ 3)今月のピックアップ(1) 「永井敬二コレクションより エンツォ・マーリ100のプロジェット」 当館学芸員 伊藤晴子  常設展示室第1・2室では、「最も厳格な」デザイナーと称されるイタリ アデザイン界の巨匠・エンツォ・マーリ(Enzo Mari)を紹介しています。 第1部では、福岡在住のインテリアデザイナーである永井敬二氏のコレク ションの中から、初期の知育玩具から家具にいたるマーリの主要な作品 を、第2部では、「日本におけるプロジェット」と題して、波佐見焼の 絵付けのワークショップと、竹細工(AURA)、飛騨高山のHIDA、そして WORLD MUJIのシリーズを紹介しています。  初日には、全国各地から約180名の方々にお集まりいただき、マーリ氏 の講演会を開催いたしました。76歳になられるマーリ氏の、社会に対す る怒りをぶつけながら語られた熱いデザイン思想に、はじめての皆様は、 しばし呆然とさていたようですが、自分のデザインは「アレゴリー (寓意)である」というデザイン活動と同じく、そのショックな言葉の 背後にあるマーリ氏の伝えたかったものは、数年、数十年をかけて、私 たちの中に沁みこんでいくのではないかと思いました。  また、展覧会場は、展覧会監修者である城谷耕生氏と、作品を公開い ただきました永井氏にデザインいただきました。普段の常設展示室とは 全く違う空間に生まれ変わっています。本展覧会の見所の一つになって いますので、マーリ作品とあわせて空間自体もお楽しみください。 ─────────────────────────────── 今月のピックアップ(2) 教育普及・生涯学習事業みんなのアトリエ「手作りのおもちゃ箱3」 エデュケーター(教育普及担当)松尾千裕  今回のテーマは「宝ものを作ろう!」です。材料は、身近な素材ば かり。特別なものは使いません。けれども、参加した子どもさん達は 皆、にっこり笑って、自分が作った作品を大事そうに抱えて帰ってく れます。数ヶ月後に「すっかりくたくたになっているのに、まだ、 あの作ったおもちゃで遊んでいるんですよ。」と報告を受ける事もし ばしば。本当に作ったものが宝ものになるようです。  長崎大学教育学部の学生さんと連携して行う同プログラムは、今年 で3年目を迎えます。が、回を重ねるごとに斬新なアイディアが盛り 込まれ、常に新鮮な感動を皆様にお届けしています。実は、メンバー の中心を担うのは大学に入学したてのフレッシュ感あふれる1年生で す。4月からの3ヶ月間、先輩達に、ああだこうだと言われつつ、企 画立案から材料集め、チラシ制作、宣伝活動、本番のお客様の制作サ ポートまで全て行います。今年もまた、とことん凝って準備していま すのでお楽しみに。また、同日に、昨年までのおもちゃ箱メンバーが 「絵本の読み語り」にも挑戦します。  皆様に楽しんで頂けるよう、一生懸命取組んでおりますので、この 機会をお見逃しなく! ================================ 4)ミュージアムショップ情報  ミュージアムショップチーフ 林田美奈子  ショップにオリジナルエコグッズ、スポンジワイプ(¥577)が入荷し ました。スポンジワイプとは、キッチンから洗面台まで活躍する吸水性 と乾燥に優れた小さなフキンです。使い捨てのペーパータオルをこの何 度も洗って使えるキッチンワイプに替えれば省資源になり、素材は天然 パルプ100%のセルロースとコットンなので使用後は土に返すと100%分 解され地球に還元されます。長崎県美術館のシンボルマークを赤とグレー でプリントしました。是非一度お試し下さい。  また、「エンツォ・マーリ100のプロジェット展」のオリジナルポスト カード(¥157)を作成しました。展示品の中で現在販売していない4点 を図録と同じ白黒で印刷しています。そしてエンツォ・マーリデザイン のゴミ箱やペンスタンド、書籍はもちろん、なんとチェアーまで販売し ています。見てるだけでも楽しいショップですので、ご来店をお待ちし ております。 □──────────────────────────────○ 《お問合せ》長崎県美術館 長崎市出島町2-1 tel095-833-2110  【休館日】第2・第4月曜(祝日の場合は翌火曜) 《長崎県美術館メールマガジン》  配信中止・配信先変更は、以下のホームページからアクセスできます。 http://www.nagasaki-museum.jp/ 長崎県美術館──────────────────────────

ページトップへ戻る