長崎県美術館 メルマガ(vol.57)

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長崎県美術館 メルマガ(vol.57)
配信日時
2009/6/26 11:00
本文
(vol.57)──────────────────────────

メルマガ長崎県美術館

□────────────────────────○2009/6/26


INDEX

1)館長コラム
2)展覧会情報
 ・企画展
 ・小企画展
 ・美術館コレクション展
3)教育普及・生涯学習事業
 ・みんなのアトリエ開催
4)注目イベント
 ・ながさきみなとまつり関連イベント 屋上庭園花火鑑賞会
 ・イブニングライブ
 ・LEGEND 平和の祈りコンサート2009
5)今月のピックアップ
 ・「藤城清治展」

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1)館長コラム
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「ピンチをチャンスに」長崎県美術館 館長 米田耕司
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 6月14日に「男鹿和雄展」が約64,000人の入場者を得て終了しました。
 館内の速報によると80%が県内の利用者で、ジブリ世代の若者が
60%を占めています。この展覧会で初めて当館に来た方々などが
多かったこともこれまでにない特色でした。この展覧会を開催することに
より、ティーンエイジャーにとって美術の世界に親しむきっかけに
なって欲しいという願いはある程度達成されたように思われます。
ほぼ同時開催中の「長崎コレクション3 親和銀行コレクション展」
(7月26日まで)は引き続き開催中です。親和銀行創業130周年を記念し、
県内有数のコレクションの中から厳選した約80点の作品に加えて、
日本を代表する建築家・白井晟一が10年の歳月を情熱を注いで取り組んだ、
同行の本店本館、別館の懐霄館(かいしょうかん)、大波止支店、
東京支店の建築も紹介しています。これらの建物は白井晟一の代表作です。
会場では建設当時から同行で使用されている、白井が選んだ椅子を
休憩用にお借りしています。普段は一般公開されていないコレクションを
この機会にご鑑賞ください。
 また、6月27日から「藤城清治展 光の祈り」(8月31日まで)が
始まります。光と影の共演で生まれる「影絵」を芸術として高め、
浸透させた画家・藤城清治。その幻想的でモダンな作品と長崎をテーマに
描いた新作を含む約200点の光の絵の世界をご堪能ください。夏休みは
「藤城清治展」をお楽しみに、ご家族でのご来館をお待ち申し上げています。
 さて、現在は世界的な不況の最中にあります。「芸術文化冬の時代」とか
「氷河期」と言っているうちに、昨年9月のリーマン・ブラザースの
破綻を契機に、国際的な経済危機が世界を巻き込んでいます。今年2月22日の
AFPのパリ発のニュースを覚えていますか。ファッション界の巨匠、
故イヴ・サンローランと長年のパートナーのピエール・べルジェ両氏が
収集したピカソ、マティス、アンディ・ウォーホルらの作品等約700点が
世界最大級のオークションのためパリのグランパレで展示されました。
落札は5億ユーロ(約575億円)以上という、このニュースは80年前を
想起させました。世界恐慌の2年前の1927年(昭和2)頃に景気が
落ち込み、この時多くの資産家が世界的なコレクションを手放したことと
よく似ています。
 1933年(昭8)のルーズベルト大統領のとったニューディール政策は
世界的恐慌から立ち直るために政府が産業、農業、地域開発などの
経済活動に介入するという経済政策でした。この時、同時に美術館・
博物館など芸術文化にも重点的に支援しました。このキーワードが
「芸術文化」です。芸術文化は、日々の生活に感動と潤いをもたらし、
未来に羽ばたく子どもたちや地域住民の豊かな感性や独創性、そして
活力を育む基礎となるものです。アメリカはこの時公共事業投資による
経済の建て直しを行うと同時に、一方で「連邦美術計画(フェデラル・
アート・プロジェクト)」などの政策を展開し、新しい時代の芸術文化の
基礎を構築しました。
 21世紀は経済と文化の相互依存が不可欠な時代です。芸術文化は経済
活性化の起爆剤だといわれます。この度の国会で補正予算が可決されましたが、
日本的なニューディール政策が近頃見られます。例えば、文化庁の
「地域文化振興プラン」では47都道府県に各1億円を上限に計47億円が
予算化されました。地域の芸術家や芸術団体、伝統文化団体等を活用した
地域文化芸術振興プランに対し支援するとのことです。また最近、文科省は
「スクール・ニューディール」として予算1兆1千億円を投じて全ての
学校に電子黒板を設備するなど芸術や教育によって経済活性を図ろうと
しているようです。芸術や教育は地域を元気にします。
 美術などの芸術は、花だと思います。実用性は低いが、人の心に響き
温かく豊かな気持ちにしてくれます。花には茎があり、その下に根を
張っています。その根は、政治であり、経済、科学技術、教育、社会、
歴史、文化などです。この花が萎んだり、枯れてくると、地下で根が
腐ってくるなどの異変が発生しているのです。花が咲いている限り根は
健全なのです。

 私は美術館で二つの目標をもって仕事に取り組んでいます。
 一つは、15年後、20年後にこの長崎県を背負って立つ子どもたちを育て、
その子どもたちが将来クリエイティブな若者になり、長崎県の各分野で
活躍するといった、どこの県にも負けない創造性豊かな県にしたいのです。
成績優秀で、言われたことは正確にやり遂げるマニュアル人間は、自分の
頭で考えることが苦手。2003年(平成15)に全国美術館会議で、マニュアル
人間が増えると日本は駄目になる、という話題が注目されました。自分の
頭で考えることのできない若者が増えると、日本の青年が中東やアジア、
アフリカ、南米などの世界の青年と議論すると負けてしまう。ではどう
すれば良いのか。その答えは、できるだけティーンエイジャーのうちに
美術や音楽、文芸などの芸術の海に投げ込むことだ、という。答えは
1つではない。〇か×か。五者択一ではないのです。
もう一つは、美術館活動を通じてささやかでも地域振興・町おこしに
関わり、地域活性化のためのコラボレーションをしたいのです。

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2)展覧会情報
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■企画展(企画展示室)
○6月27日(土)-8月31日(月)
「藤城清治展 光の祈り」
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「影絵」を芸術として浸透させた画家・藤城清治。暗闇に浮かび上がる
色彩の洪水…“影絵というより光絵だ”と言われる作品世界は、新しい
美術館体験をもたらすでしょう。85歳を迎えた現在もみなぎる創作意欲で
新作を送り出し、本展では長崎をテーマにした大作を含む約200点を
展示します。

詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kikaku/index.html

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■小企画展(常設展示室第1・2・4室・パティオ前)
○4月23日(木)-7月26日(日)
「長崎コレクション3 親和銀行コレクション展」
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親和銀行創業130周年を記念し、同行が所蔵する絵画、彫刻、陶磁器
などをご紹介します。岡田三郎助や藤田嗣治、東山魁夷の作品をはじめ、
古伊万里などの陶磁器名品のほか、国内でのコレクションが希少な
イコン(聖像)など約80点を展示します。

詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/shinwa.html

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■美術館コレクション展(常設展示室)
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長崎ゆかりの美術とスペイン美術を年数回の展示替えにより随時ご紹介
しています。

○5月12日(火)-9月13日(日)「須磨コレクション(テーマ展示(1)風景画)」
○5月12日(火)-9月13日(日)「スペイン近現代美術1」

詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/jousetsu/index.html

《展示替え》
○7月30日(木)-11月8日(日)「館蔵名品展-長崎ゆかりの美術」
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=standing&id=567

○7月28日(火)-11月8日(日) ダリ版画集「パンタグリュエルの滑稽な夢」
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=standing&id=578

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3)教育普及・生涯学習事業

みんなのアトリエ
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長大生とアートすると2009
「500色の色鉛筆による色の玉手箱」
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今年で5年目の長崎県美術館と長崎大学の連携ワークショップです。
今年は「色鉛筆」を画材にして長崎大学の学生さんといっしょに
カラフルな絵を描きましょう。

◇日時:7月11日(土)・12日(日)
    (1)10:30-(2)11:30-(3)13:30-(4)14:30-
◇対象:小学生から中学生(幼児も可 ※要保護者同伴)
◇定員:各30名 ※当日受付
◇場所:アトリエ(※一部講座室を使用します)
◇参加費:無料

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○同時開催 「でてこい大きな紙芝居2009 」
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昔話などの紙芝居や、創作紙芝居をサウンドストーリー形式で表現します。
小学生と大学生が共同制作した紙芝居もあります。さあ、今年は
どんな話がでてくるでしょう、どうぞお楽しみに!

◇日時:7月11日(土)・12日(日)
   (1)11:30-(2)12:30-(3)14:30-(4)15:30-
    ※各回内容は全て異なります。
◇場所:ホール ※当日受付
◇対象:幼児から
◇定員:各回100名
◇参加費:無料

主催:長崎県美術館、長崎大学教育学部中川研究室
企画協力:株式会社フェリシモ

詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/whats_new/kyouiku/index.html

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4)注目イベント
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■ながさきみなとまつり関連イベント「屋上庭園花火鑑賞会」開催
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2009ながさきみなとまつりで開催される「eco花火」を、屋上庭園にて
ご鑑賞いただけます。

◇日時:7月25日(土)、26日(日)入場20:30 打ち上げ開始20:50より
◇場所:美術館屋上庭園(入口:アートビジョン横の外部階段)
◇定員:先着200名
◇料金:無料
※荒天の場合中止となる場合があります。
※飲食物持込不可。

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■イブニングライブ
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毎月第2・4日曜日の夕方から夜にかけて活水女子大学音楽学部と
長崎大学教育学部の音楽家のみなさんが素敵な音楽を奏でます。
『美術』と『音楽』の融合…あなたの日曜の夕方から夜の過ごし方
に加えてみませんか?

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○長崎大学による演奏
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フルートアンサンブルやサックスソロなど、管楽器がみどころです。
◇日時:6月28日(日)(1)16:30-17:00 (2)18:30-19:00
◇場所:エントランスロビー ※無料

詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=lecture&id=933

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○活水女子大学による演奏
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音楽学部制作コースの学生が作品を発表します。
◇日時:7月12日(日)(1)16:30-17:00 (2)18:30-19:00
◇場所:エントランスロビー ※無料

詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do?command=lecture&id=934

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■LEGEND 平和の祈りコンサート2009 ※チケット好評発売中!
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東京を中心に全国で活躍している国立音楽大学卒業の男性オペラ歌手
グループ「LEGEND」(レジェンド)。当館では2007年、2008年と
コンサートを開催し、会場溢れんばかりの観客を魅了しました。
今回は長崎原爆の日にちなみ平和のメッセージをお届けします。

◇日時:8月10日(月)開場20:00 開演20:30
◇会場:エントランスロビー
◇出演:LEGEND(テノール/柿迫秀、志村糧一、吉田知明
    バリトン/内田智一、菅原浩史)
    専属ピアニスト/大井健、中村匡宏
◇料金:全席自由/一般3,000円、大学生以下2,000円
    (美術館プレミア・パートナーズ会員各500円引き)
    ※当日は500円増

詳しくはこちら↓
http://www.nagasaki-museum.jp/museumInet/sca/eveScheduleView.do;jsessionid=C9AAB4C9868FF90F908F6EF44F241047?command=lecture&id=1033

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5)今月のピックアップ
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「藤城清治展 光の祈り」当館学芸員 遠山景子 
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 藤城清治さんの作品をご覧になったことがありますか。実際に見た
ことがなくても、テレビや絵本などで一度は目にしたことがあるのでは
ないかと思います。
 暗闇に浮かび上がる藤城さんの影絵は「影絵というより光絵だ」と
言われています。背後から当てられる光によって繊細で色彩豊かな世界が
繰り広げられるのです。作品にしばしば登場するこびとや猫などの
モティーフは単に造形的な可愛らしさを持っているだけでなく、
人々の夢や歓び、哀しみを表現するための象徴的存在だといえます。
 魅力溢れる藤城ワールドを体験していただくために、会場には様々な
工夫が凝らされています。これまで影絵を見たことがないという方も
この機会に美術館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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《お問合せ》長崎県美術館 長崎市出島町2-1 tel095-833-2110
【開館時間】10:00-20:00
【休館日】第2・第4月曜(祝日の場合は翌火曜)
     ※8月10日(月)、24日(月)は臨時開館

《長崎県美術館メールマガジン》
 配信中止・配信先変更は、以下のホームページからアクセスできます。
http://www.nagasaki-museum.jp/

長崎県美術館──────────────────────────

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